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2019年の締めくくりとなる12月が始まった。師走と呼ばれるように何かと忙しい時期だ。仕事納めや年越しの準備に忘年会、税金の手続きもある。正岡子規も「いそがしく時計の動く師走哉(かな)」と詠む。慌ただしさは昔も変わらない

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少しでも時間がほしいのが人情だが、安倍晋三首相は一日も早く過ぎ去ってほしいようだ。「桜を見る会」を巡る問題で揺れている。与党は9日に閉幕する臨時国会の会期を延長しないという。野党が求めている予算委員会の集中審議も応じない構えだ

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疑惑はさまざまだ。功績があった人を慰労する会に、首相後援会の関係者が約800人参加していたことが分かっている。これだけでも税金私物化との批判は免れないのに、前夜祭の不明瞭な会計処理や出席名簿の廃棄、反社会勢力とみられる人物の参加など枚挙にいとまがない

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首相は国会では最初に追及された予算委以降、本会議で答弁しただけ。矢面に立つ菅義偉官房長官は記者会見で、反社会的な勢力が「入っていたのだろう」と述べた翌日に「出席したと言っていない」。名簿データを復活できない理由も不明瞭な答えだ

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無実の罪で大宰府に流された菅原道真は「清き心は月ぞ照らさむ」と詠んだ。真実を知るのは月だけという心境だろう。幸いにして首相には疑惑を晴らす時間もすべもある。潔白なら名簿データを復活し、前夜祭の明細書を取り寄せ説明すればいい。師走で忙しいことは言い訳にならない。

(12月2日)

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