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マイクロプラスチック 超音波使い効率良く回収 信大繊維学部のチーム

超音波を使ってマイクロプラスチックを集める装置について説明する秋山准教授(右)と森脇教授超音波を使ってマイクロプラスチックを集める装置について説明する秋山准教授(右)と森脇教授
 海洋汚染や食物連鎖によって人間も含めた生態系への影響が懸念されている「マイクロプラスチック」を、超音波を使って回収する方法を、信州大繊維学部(上田市)の秋山佳丈准教授(42)=生体医工学=と森脇洋教授(51)=環境化学=らが開発した。応用すれば、ネットでは回収が難しい微細な粒子も効率良く集められ、洗濯排水や下水などからのマイクロプラスチックの流出を減らすことが期待できる。

 マイクロプラスチックは、おおむね5ミリ以下に砕かれたプラスチック粒子。ペットボトルなどが海に流され、波や紫外線などで砕かれるものもあれば、衣料の繊維など生活排水にも含まれる。一般的に、0・3ミリほどの穴が開いたネットで集められる。穴のサイズを小さくすると目詰まりなどが起き、0・3ミリ以下の粒子は効率良く集めることが困難だった。

 研究チームが開発したのは、マイクロプラスチックを含む液体を流す際に超音波振動を与えることで管の中央に集める方法。マイクロプラスチックが超音波振動によるエネルギーが低い部分に集まる性質を利用し、まとめることに成功した。マイクロプラスチックを含む液体からの回収率は、直径15マイクロメートル(マイクロは100万分の1)の球状の微粒子で99%。直径10マイクロメートル、長さ200マイクロメートル程度の棒状の繊維は95%ほどだった。

 3年前、森脇教授が秋山准教授にマイクロプラスチックの回収の難しさについて話したのがきっかけ。秋山准教授が血液の細胞分離に超音波を使う方法があると提案し、研究が始まった。

 研究チームは、洗濯機などに取り付けることで、生活排水からマイクロプラスチックを流すことを防げると考えている。現時点では処理速度の遅さが課題。大量に処理できれば、下水や工場廃水のマイクロプラスチックの回収にも道が開ける。

 森脇教授は「プラスチックを使わない生活は難しい。使い方の見直しで汚染を改善する方法を考えていく」。マイクロプラスチックを効率良く集められるため、秋山准教授は「マイクロプラスチックがどのようなものか調べる研究にも生かせる」としている。今回の研究はオランダの科学雑誌に掲載された。

(12月3日)

長野県のニュース(12月3日)