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皇位継承の議論 先延ばしは国会の軽視だ

 安定的な皇位継承を巡る本格的な議論の開始を、政府が先延ばしにしている。

 当初は天皇陛下の即位関連儀式として昨年11月に行われた大嘗(だいじょう)祭の終了後に、有識者会議を設置する日程を想定していた。それを秋篠宮さまが皇嗣(こうし)になったことを宣言する4月19日の「立皇嗣の礼」終了後に延期するという。

 「静かな環境で議論すべきだ」というのが理由である。

 衆参両院は、上皇さまの天皇退位を可能にした特例法の付帯決議の中で「(昨年4月30日の)法施行後の速やかな検討」を政府に要求していた。それなのに、退位から1年近く議論されないことになる。国会の軽視だ。

 政府は、退位の法整備や皇位継承儀式のあり方の検討で、「静かな環境」という掛け声のもと、オープンな意見交換を避けてきた。儀式の検討では、平成への代替わりの際に違憲の疑いが指摘されていたのに、深い議論をせず前例踏襲を決めた。今回も透明性を欠いたまま進めるのか。

 女性皇族の婚姻などによる皇族数の減少は先延ばしできない課題だ。現在の皇室典範は皇位継承者を「男系の男子」に限定している。秋篠宮さま、秋篠宮さまの長男悠仁さま、上皇さまの弟常陸宮さまの3人だけである。

 このまま先細りするのを避けるのならば、早急に皇位継承のあり方を議論する必要がある。

 論点は多い。女性天皇と、父方に天皇がいない女系天皇を認めるか。女性皇族が皇族以外と結婚後も皇室にとどまり、女性皇族を当主とする女性宮家を創設するかなどだ。保守派には旧宮家の皇籍復帰を求める意見もある。

 126代続くとされる歴代天皇のうち、女性は10代、8人いるものの、女系天皇や女性宮家は存在しない。安倍晋三首相は「男系継承が例外なく行われてきたことの重要性を踏まえ慎重に検討したい」との立場だ。自民党内も女性天皇には慎重で、女系天皇や女性宮家は認めない意見が主流だ。

 ただ、昨年10月の共同通信の世論調査では、女性天皇に賛成は約82%、女系天皇も7割が賛成している。首相や自民党の意見は世論と乖離(かいり)していることが明白だ。

 大切なのは皇室や象徴天皇制が将来、どうなっていくのか、まず率直に意見を交わすことだ。その上で皇位継承のあり方について国民の意見を聞き、公開の場で決めていくことが必要だ。閉ざされた「静かな環境」の議論では、国民の理解は得られない。

(1月14日)

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