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浸水被害の長野・北部工業団地 中小30社、被災の教訓共有

 台風19号災害で深刻な浸水被害を受けた長野市北部工業団地の中小企業30社余は、被災経験を共有して災害に強い工業団地を目指す。被災企業がグループとして「復興事業計画」を作り、被災各社の災害対策や復旧事例を共有しながら「事業継続力」を強化する事業を盛り込んだ。未曾有の水害の経験を全国の企業に発信し、自然災害が相次ぐ時代にリスク低減に役立ててもらうことも構想している。

 被災企業は、複数企業による再建を国や県が支援する「グループ補助金」の認定を受けるため、昨年12月に交付に必要な復興事業計画の作成に着手。共同事業として、今回の水害の経験を教訓として生かそうと考えた。

 例えば被災企業の中には、重要な生産設備を高い場所に設置することで水没を免れた事例もある。こうした被害軽減に役立つ事前対策、操業再開を早める工夫などを防災力向上のヒントとして共有。被災した企業が早期復旧を図り、事業を続けられるようにする事業継続力を強化する狙いだ。

 北部工業団地は製造業を中心に約40事業所が集積。昨年10月の台風19号災害では千曲川の堤防決壊により多くの事業所が浸水した。グループの復旧費用は総額で50億〜60億円に上る見通し。高さ1・5〜2メートルもの水に漬かった工場では設備の故障で操業休止に追い込まれ、現在も復旧の途上にある。

 工業団地の中には、緊急時の事業継続と早期復旧を可能にする「事業継続計画(BCP)」をまだ策定していない企業や、策定済みでも洪水に対応できなかった企業があった。このため想定外のリスクにも対応できるように、危機管理の専門家を招いてBCPを学ぶ共同勉強会、多様な自然災害を想定した防災訓練も団地内で企画する。

 防災・減災に向けた中小企業の事前対策で、国による認定の対象になる「事業継続力強化計画」の策定にも、被災企業が取り組む。浸水などのハザードマップを基にした被災リスクと初動対応の確認、社員や工場を守るための対策などを検討していく。

 被災企業でつくるグループは1月、「北部工業団地エリア」の名称で復興事業計画書を県に提出した。グループ事務局で特殊樹脂開発・製造のニッキフロン(長野市)によると、グループ各社は2020年の本格復旧を目指し、復興後に全国の企業への情報発信を考えている。

 ニッキフロンの春日孝之社長は「被災企業としての経験や学んだことを、県内外の経営者と共有したい。北部工業団地の体験を生かし、国内の事業所で防災・復旧マニュアルの強化につなげてもらえればいい」と話している。

(1月16日)

長野県のニュース(1月16日)