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河井夫妻の弁明 空しい自民の「説明責任」

 自民党の河井克行前法相と妻で同党の河井案里参院議員が、法相辞任から2カ月余たってようやく公の場に姿を現した。

 昨年7月の参院選を巡り、案里氏陣営が違法な報酬を運動員に支払ったとされる疑惑で広島地検が家宅捜索に乗り出した日の深夜である。「心配をかけた」と謝罪したが、疑惑については「もう捜査が始まっている」などとして説明を避けた。

 克行氏は法相辞任時に「しっかりと調査して説明責任を果たす」と約束したまま、姿を消した。いまさら「後日説明する」と繰り返されても信用できない。

 安倍晋三首相と菅義偉官房長官は「自ら説明責任を果たす必要がある」と口では言いながら、「個々の問題」とばかりに国会の欠席と沈黙を是認してきた。

 時期を同じくして同党の菅原一秀氏も公選法違反疑惑で経産相を辞めた。やはり表に出てこない。

 自民党が言う「説明責任」は実態がなく、空疎だ。国民をけむに巻く常套(じょうとう)句でしかないのか。

 参院選広島選挙区(改選数2)で自民党は、党本部の主導で現職に加えて新人の案里氏を擁立した。野党系無所属現職に次いで当選し、自民現職が落選した。

 昨年10月、案里氏陣営が選挙カーの運動員に法定上限の倍額の日当を支払っていたとの疑惑が浮上した。大学教授らが公選法違反の疑いで告発していた。

 日付や名目が異なる領収書を2枚作成し、法定内に収まるように見せ掛ける偽装も疑われている。陣営が違法性を認識していた可能性がある。選挙運動をした男性に党支部名義で約86万円を支払った買収疑惑も浮上している。

 捜査の結果、秘書らの有罪が確定した場合、連座制が適用されて案里氏の当選が無効になる可能性がある。

 2人はなぜこのタイミングで姿を見せたのか。地検の捜査着手を逆手に無言を貫けると考えたのなら、不誠実極まりない。

 臨時国会を欠席していた理由について克行氏は「国会運営に支障を来してはいけないと考えた」と述べている。議員が議場で真実を語るのが、まっとうな国会というものだろう。

 2人とも離党や辞職はせず、通常国会に出席するという。いずれも党員、議員の資格あり、と党が認めているということだ。

 野党は衆参両院の政治倫理審査会での説明を求める方針だ。2人は議員として、意味のある言葉を国会で語るべきだ。

(1月17日)

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