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消防団員の6割地区外 長野・長沼 被災で仮住まい 初期消火懸念も

決壊した千曲川の堤防近くで大破したままの長沼分団詰め所=9日、長野市穂保決壊した千曲川の堤防近くで大破したままの長沼分団詰め所=9日、長野市穂保 明かりの消えた被災地を見回る長沼分団の車両=昨年10月23日、長野市長沼地区明かりの消えた被災地を見回る長沼分団の車両=昨年10月23日、長野市長沼地区
 台風19号で被災した長野市長沼地区を担当する市消防団長沼分団の団員の6割が、災害の影響で地元を離れ、地区外で仮住まいしていることが18日、分団への取材で分かった。火災の初期対応に影響が出かねない上、地区外での生活が長期化すれば、将来、団員確保が難しくなることを分団幹部らは懸念している。

 同分団が昨年12月、20〜40代の団員56人全員にアンケートを行った。21人が自宅で暮らしていると回答した一方、35人はアパートを借り上げた地区外の「みなし仮設住宅」などで生活していると答えた。同分団は1月11日の地元での出初め式を中止した。

 「団員にはリンゴ農家が多く、昼間でも畑や自宅から火災現場に駆け付けられるのが強みだった」と話す分団長の飯島基弘さん(47)はこうした被災後の現状を、「地元に残る団員が減り、対応の遅れが出かねない」と懸念。地区外のみなし仮設に暮らす40代の男性団員は「平日は会社勤め、休日は自宅の再建準備がある。夜間に火災で招集されても、離れた場所に駆け付けるのは負担」と打ち明ける。

 消防装備を保管していた同分団の詰め所も、千曲川の堤防決壊による濁流で壁が崩れるなど大破。車庫に止めていたポンプ積載車は現在、約3キロ離れた市消防局鶴賀消防署の柳原分署に置いている。火災が発生した場合は隣接分団が協力し、市消防局も「被災前と変わらずしっかり対応する」としているが、身近な分団の機能低下に地元の心配は消えない。

 また、アンケートでは、将来、地元に残るかどうかについても聞き、「残る」と答えたのは46人。10人は「他地区に住む」か「未定」だった。同分団の規定上の定員は55人で、市消防局は「下回っても分団活動は認められる」とするが、今回の台風のような大雨の際の水防活動も担う団員の確保は、先々の大きな課題になりそうだ。

 飯島さんは「災害の怖さを住民が実感した中で、地域の若手が今後、どれだけ入ってくれるか不安。分団を維持するには、消防団のあり方についても地域全体で話し合う必要があると思う」と訴えている。

(1月19日)

長野県のニュース(1月19日)