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県内の観光業、春節控え苦慮 新型肺炎拡大「過度な対応できぬ…」

 中国などでの新型肺炎感染の拡大を受け、県内のホテル・旅館などが対応に苦慮している。情報がまだ少ない上、過度な対応は顧客らに不快感を与えかねないためだ。24日に始まる春節(旧正月)の訪日客入り込みを前に、関係者らは状況を注視している。

 海外誘客が好調な北安曇郡白馬村。中国人の延べ宿泊者数も、2014年の968人から18年の9836人へと着実に伸びてきている。

 台湾出身で、村内で中国語のスキースクールを営む傅正功(ふまさのり)さんの宿泊施設は、春節中は台湾や中国からの宿泊客で予約がいっぱい。来日25年。「日本にいながら中華文化を思い出せる大切な時間」だけに、万が一にも感染があってはならないと、密閉性の高い防じんマスクを宿泊客に配ろうと準備を始めている。

 「大切な友人でもあるお客さんに白馬を気持ちよく楽しんでほしい」。そんな思いからだが、村内では品切れか取り扱いがない。「宿泊施設が工夫できることは少ない」と傅さんは話す。

 白馬村と同様に外国人スキー客が増えている下高井郡野沢温泉村。冬季は週1、2組という中国人宿泊客がこの時季は2倍ほどになると、民宿経営の男性(68)も言う。

 新型肺炎が日に日に大きく報じられる中、気にするのは、やはり万が一の場合の観光地としてのダメージ。「雪不足のように、自分たちの努力ではどうしようもない」。消毒液の設置なども考えてはいるが、「個々にできることはほとんどない」と感じる。訪日客に安心して滞在してもらうには、入国時の防疫体制強化など「国レベルで早急に対応してもらいたい」と語る。

 県旅館ホテル組合会は22日までに、発熱やせきなどの症状が出たら申し出るよう宿泊客に求めたり、宿泊客が発症した場合に医療機関に連絡して受診を勧めたりといった留意点を確認するよう、加盟約900の施設に周知した。

 ただ、やはり感染防止となると、「宴会場やレストランの入り口に消毒ジェルを設置」(松本市大手のホテル)といったことに限られる。下伊那郡阿智村昼神温泉郷の温泉旅館は宿泊客の出発地を確認しているが、「今できるのは情報収集や代理店との情報交換くらい」と困り顔。諏訪市のホテル担当者も「対策のしようがない」と言う。

 「過度な注意喚起は顧客の心証を悪くしかねない。従業員のマスクの着用も接客業としては悩ましい」と、白馬村の「シェラリゾート白馬」の担当者。中信地方でホテルを経営する企業幹部も「本当の危険度も分からない。季節性インフルエンザの方がよっぽど怖い」と、努めて冷静に状況を見守っている。

(1月23日)

長野県のニュース(1月23日)