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首相の国会答弁 ごまかしと言い訳の羅列

 国民に説明するつもりはないのだろう。

 衆参両院の代表質問に対する安倍晋三首相の答弁である。各党からは「桜を見る会」を巡る疑惑や、カジノを含む統合型リゾート施設(IR)に絡む汚職事件などへの質問が相次いだ。

 安倍首相は「桜を見る会」について従来の説明に終始した。

 招待者名簿は「廃棄された」として再調査しない。夕食会の明細書はホテルの「営業の秘密」として提示を拒否。ジャパンライフ元会長を招待した疑惑も「個人情報」として回答しなかった。

 IR汚職事件は「捜査中」を理由に「事態を重く受け止める」とした。IR推進の姿勢を堅持して、国民の疑念に対して説明する姿勢を見せない。

 辞任した2人の閣僚も「任命者として責任を感じる」とするだけで、説明は本人に任せたままだ。

 共通するのは、責任をほかに押しつけて、自らの責任を逃れる姿勢である。

 「桜を見る会」巡る疑惑は、公選法や政治資金規正法に違反する可能性がある。疑惑を晴らすには招待者名簿を示し、ホテルの明細書を提出すればいい。その努力をしなければ疑惑を深めるだけだ。

 ごまかしも多い。当初予算案や気候変動対策の説明が顕著だ。

 来年度当初予算案では、税収見込みが過大と指摘された。それに対し「適切な見積もり」と答弁した。前提とした経済成長率は2・1%で、現在の実力とされる1%程度を大きく上回る。それなのに「適切」とする根拠を示さない。

 一方で本年度が税収不足に陥ったことには「編成時に想定しなかった事情」として「楽観的だったとは考えていない」と答弁した。来年度も同じ言い訳を繰り返せばいいという思惑なのか。

 気候変動対策は「5年連続で温室効果ガスの削減に成功」とアピールする。一方で欧州連合(EU)などに比べ見劣りする「2030年度に13年度比26%減」という目標にすら遠いことは触れない。

 「今世紀後半のできるだけ早期に脱炭素社会を実現する」とした長期戦略をアピールしても、中身は技術革新への期待だけで具体策はない。石炭火力発電を堅持したことに国際的な批判が出ているのに「世界の気候変動への取り組みをリードしていく」と述べた。

 それなのに首相は「重要なことは言葉ではなく実行」と強弁している。実態は「根拠のない言葉」だけだ。国会を軽視せず真摯(しんし)に答弁することを求める。

(1月24日)

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