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上田高校の堀整備 同窓会が「出陣」 行政の予算化進まぬ中で

上田高校敷地内の堀から水を抜く作業を見守る同校同窓会の倉沢克彦さん。右奥は表門=28日、上田市上田高校敷地内の堀から水を抜く作業を見守る同校同窓会の倉沢克彦さん。右奥は表門=28日、上田市
 上田市の上田高校の敷地内の東側に広がる市指定文化財の堀の整備に、同校同窓会が乗り出したことが28日、分かった。かつてはハクチョウが泳いでいたが、ポンプが故障してここ数年は干上がったり、泥が堆積したりして悪臭も出る。関ケ原の合戦後に真田信之が居館を構え、歴代上田藩主の屋敷となった場所だが、県教育委員会が管理し、市が文化財指定した複雑な関係も影響して、両者共に予算化への動きが鈍い。同じく市指定文化財の表門、土塀も残る観光名所。行政が積極的に維持管理に関わるべきだ、との声が出ている。

 堀は幅7メートルで、表門を挟んで長さ約150メートル。1月から水を抜き、2月に堆積した泥を取り除く。28日夕、脇を歩いていた近くの女性(84)は夏の異臭を感じていたとし「きれいにならないものかなと思っていた」。複数の生徒も「汚い」と声をそろえた。

 同窓会事務局などによると、井戸から堀に水を引き込んでいたポンプが数年前に故障し、水が流れ込まなくなった。落ち葉などが汚泥となって多いところで1メートルほど堆積。夏の悪臭には、周辺住民から苦情が出ていた。

 同校は県、市などに文化財保護の観点で改善を要望したが、進展はない。県教委高校教育課は「エアコン設置など教育環境整備を優先した。文化財の位置付けもきちんと検討する必要がある」。市教委は事業への補助を検討したとするが、市内の文化財保護のために県から補助金を受けており、逆に市から県への補助は「なじまない」とする。

 広田昌彦校長は「堀や表門などの修繕に、教育予算を充てるのは適当でない。文化財として修繕してほしいが、その仕組みがない」と嘆く。

 同窓会は2018年、20年の120周年記念事業に向け、堀のことを聞き検討。「なぜ同窓会が負担するのか」との反対意見も出たが、「これ以上放置できない」と記念事業として取り組むことにした。昨年12月に新しいポンプを取り付け、水漏れを防ぐ工事もした。2千万円ほどを見込み、寄付を呼び掛けている。

 記念事業の実行委員長、日置勇二さん(77)=上田市=は「お堀は母校の誇りで、上田の重要な文化財・観光資源。行政と相談し、中長期的な保全のあり方を考えていきたい」と話している。

 表門も、瓦がずれるなど傷みが目立つ。同窓会は今月、「県と高校、市が連携し、文化財を保全する仕組みを整えてほしい」と市に要望。県教委高校教育課は、市、学校などと同校敷地内の文化財の位置付けや今後の修繕について、話し合いの場を設けたい―としている。

(1月29日)

長野県のニュース(1月29日)