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秋元議員保釈 証人喚問で事実の解明を

 国会が主導して事件の全容を明らかにする必要がある。

 カジノを含む統合型リゾート施設(IR)事業を巡る汚職事件で逮捕、起訴された衆院議員の秋元司被告が保釈された。

 日本でのIR事業参入を目指していた中国企業側から、約760万円の賄賂を受け取っていたとして、収賄罪で起訴されている。

 IRは安倍晋三政権が「成長戦略の目玉」としてきた。巨額の資金が動き、業者と政治家らとの癒着の懸念は当初から出ていた。依存症の増加や治安の悪化、資金洗浄の恐れも拭えない中、議論が不十分なまま与党が法案採決を強行した経緯がある。

 秋元被告は当時、IR担当の内閣府副大臣と観光施策所管の国土交通副大臣を兼務していた。賄賂の見返りに、内閣府や国交省の担当窓口を中国企業側に紹介するなどの便宜を図ったとされる。

 IRを巡る国民の不安の一端が現実となったものだ。現職国会議員が逮捕、起訴された事実は重い。全容が分からないまま、IRを進めることはできない。

 政府は事件を受け、整備地域の選定基準を盛った基本方針の決定を先送りする。政府関係者らとIR事業者の接触ルールも策定する。複数で対応し、記録の作成や保存を義務付けるとしており、基本方針に明記するという。

 共同通信の1月の世論調査では7割余がIRを「見直すべきだ」と回答した。政府は小手先の対応だけで世論の反発が収まるのを待つつもりなのか。

 安倍首相は事件の解明に消極的だ。「捜査に影響する」として経緯の説明を避けている。「IRは観光先進国の実現を後押しする」としてIR推進の立場を変えていない。このまま事業を進めるのなら国民軽視も甚だしい。

 秋元被告は逮捕以降、一貫して無罪を主張している。衆院事務局によると、被告は衆院に登院する意向を示しているという。

 野党は秋元被告に証人喚問を求める方針だ。秋元被告も登院するのなら、自らに向けられた疑惑を国会で説明するのが筋である。与党は喚問に応じるべきだ。

 問題は秋元被告だけではない。中国企業側は衆院議員5人に現金を渡したと供述している。うち1人は受領したことを認めているものの、4人は否定したままだ。

 5人は職務権限の観点から立件されなかった。刑事責任は問えなくても受領が事実なら責任は重い。国会は5人を喚問し事実関係を問いたださなくてはならない。

(2月14日)

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