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首相の暴言 責められる理由を思え

 「意味のない質問だよ」。国会で安倍晋三首相の放ったひと言が波紋を広げている。

 首相の政治姿勢を厳しくただし、「鯛(たい)は頭から腐る。頭を代えるしかない」と、退陣を迫って質疑を終えた立憲民主党の辻元清美議員に浴びせた。“売り言葉に買い言葉”では済まない。

 政権の疑惑や政策について野党議員がどう質問しても、首相は同じ答弁を繰り返す。答弁書を早口で棒読みする。異なる見解は全て批判とでも受け止めているのか、提言には耳を貸さない。

 国会での議論を“通過儀礼”と見なしている節さえある。

 その典型が「桜を見る会」だろう。首相が税金で自らの後援会員を招待した公職選挙法違反、前夜の夕食会費を政治資金収支報告書に記載しなかった政治資金規正法違反などの疑いがかかる。

 答弁では、桜を見る会の招待者は内閣官房と内閣府が取りまとめたと主張した。夕食会場となったホテルとの契約者は参加者個々であり、安倍晋三後援会に報告書への記載義務は生じない、と無理な弁明を重ねている。

 首相の地元・山口県の後援会員からは「自分たちが悪人のような雰囲気だ」「本当のことを言ってほしい」との声が上がる。

 疑惑解明の鍵となる招待者名簿やホテルの明細書の提出を拒んでおきながら、首相は、問題を追及する議員を「うそつき」「流言の流布だ」とののしる。「非生産的な、政策とは無縁のやりとりを長々と続ける気持ちは全くない」と居直ってもいる。

 海上自衛隊の中東派遣や東京高検検事長の定年延長でも、野党側の懸念や疑念に、閣僚はまともに向き合おうとしない。

 過去にも首相は、質疑中の野党議員に「日教組」とか「共産党」とやじを飛ばした。13日の衆院本会議では、共産党を破壊活動防止法の調査対象としている理由を日本維新の会に聞かれ、「現在も暴力革命の方針に変更はないと認識している」と答えている。

 相手にレッテルを貼っておとしめる手口は、根拠のないヘイトスピーチにも通じる。建設的な議論は成り立たなくなるだろう。どちらが「非生産的」なのか。

 首相は17日の衆院予算委員会で辻元議員への暴言について、何らかの「発言」をするという。

 時に質問者が言葉を荒くし、周りがやじる野党もほめられたものではない。が、激高せざるを得ない状況を招いた政府の姿勢を省みない限り、問題は収束すまい。

(2月15日)

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