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クジラ全身化石、上田で発掘 あごから尾まで約8メートル アカボウクジラ科と推測

発掘したクジラの全身化石について説明する鈴木教諭。右奥が頭部、左奥が胸部、手前が腹部と尾部=23日、上田市発掘したクジラの全身化石について説明する鈴木教諭。右奥が頭部、左奥が胸部、手前が腹部と尾部=23日、上田市
 上田市教育委員会は23日、上田市築地の1290万〜1250万年前の地層からクジラの全身化石が見つかったと発表した。上田染谷丘高校(上田市)で地学を教える理学博士(古生物学)の鈴木秀史(ひでし)教諭(55)が発見。市教委によると、県内でクジラの全身化石が見つかるのは松本市四賀地区に次いで2例目。鈴木教諭らは国内で全身化石が発見されていないアカボウクジラ科と推測している。

 化石は下あごの骨から尾まで約8メートルで、最大幅約30センチ。下あごに長さ19・5センチの牙が1本残っている。椎骨が46個見つかっており、鈴木教諭や市教委は椎骨が45〜49個あるハクジラ亜目アカボウクジラ科に属すると考えている。

 鈴木教諭は昨年5月、かつて海だった地層「別所層」がある浦野川の底に背骨を発見した。大きさからクジラの骨と判断。鈴木教諭は「地層にこんなにきれいに入っているのは珍しいと思った」と振り返る。海底で泥が緩やかに堆積し、壊れなかったと推測している。

 鈴木教諭から連絡を受けた上田市教委は、渇水期の今年2月に調査を開始。化石は泥岩層に挟まれて圧縮された状態だった。化石の崩壊や散逸を防ぐため、周りの泥岩とともに発掘。今月10日に発掘が終わり、現在は頭部、胸部、腹部、尾部に分けて市内に保管している。

 古生物学が専門の長谷川善和・群馬県立自然史博物館名誉館長(90)=飯田市出身=は「アカボウクジラ科の全身化石であれば、おそらく国内初」と話す。アカボウクジラ科は現在も存在しているが、市教委などは属や種類の特定を進めるとし、新種の可能性に期待している。

 鈴木教諭は通称名を「ウエダアカボウクジラ」と名付け、「別所層から大きな個体が出た。子どもたちに見てもらい、別所層に興味を持ってほしい」と話している。市教委は岩の中から化石を削り出す作業をし、保存処理して展示する方針。

(3月24日)

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