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県内企業 五輪延期嘆く 観光業「出口見えない」

 新型コロナウイルスの感染拡大で東京五輪・パラリンピックの延期が決まり、県内の経済関係者からは25日、落胆する声が聞かれた。外出自粛などで客足が急減し、大会の観戦ツアーや外国人客の回復に期待していた観光、宿泊業者はトンネルの出口が見えないと嘆く。五輪を契機に販売拡大を考えていた企業は、戦略の見直しを迫られている。

 東武トップツアーズ伊那支店(伊那市)が企画した県内発着の五輪・パラリンピック観戦ツアーには個人や企業、小中高校から予約が入っていた。3、4月の国内外の旅行はほとんどキャンセルされ、厳しい状況が続く。河合和彦店長は「五輪・パラリンピックまでに、終息してほしかった」と肩を落とす。

 信南交通(飯田市)は大会期間中、報道関係者の輸送用に大型バスを2台貸し出す計画だった。担当者は「貸し出しで見込んでいた収入がなくなるのは痛い」。3、4月の貸し切りバスの予約がほとんどキャンセルされ、春の修学旅行は夏に延期された。「夏までには感染拡大が終息してほしい」と願った。

 ホテルメトロポリタン長野(長野市)の担当者は「五輪が呼び水となり、その後の訪日客が増えることを期待していた」とする。宴会や宿泊、レストランの3月の売り上げは前年同月比で約7割減。中止が決まった4月19日の第22回長野マラソン大会では、選手村として選手を迎える予定だったといい「4月の方がマイナスの影響が大きいかもしれない」と懸念した。

 ジャム・ワイン製造のサンクゼール(上水内郡飯綱町)は、東京五輪・パラリンピックの大会マスコットをパッケージに使ったジャムなどをライセンス商品として売り出す準備を進めている。予定通り今春に発売する計画だが、久世良太社長は「一番の盛り上がりに合わせて販売を開始できないのは残念だ」とする。

 清酒「真澄」蔵元の宮坂醸造(諏訪市)の宮坂直孝社長は「五輪・パラリンピックで世界的に日本の食文化への関心が高まるのを機に、輸出を拡大するプランを描いていた」。感染拡大で欧米向けの輸出が止まり、国内の飲食業者向けの販売も低迷。「終息しないことには次の手が打てない」と頭を抱える。

 五輪・パラリンピックの延期に伴い、4月2、3日に県内で予定されていた聖火リレーは中止になった。県商工会議所連合会の北村正博会長(長野商議所会頭)は「聖火リレーができれば地域に活気が戻り、経済にも好影響が生まれると期待していた。やむを得ない判断だが、中止は痛手になる」と話した。

(3月26日)

長野県のニュース(3月26日)