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東京五輪延期 これからへの責任が重い

 東京五輪の延期が決まった。

 国際オリンピック委員会(IOC)と、日本の東京都、大会組織委員会、政府はいずれも、つい先週まで「予定通りの開催」を唱えていた。一変した背景には、各国の選手やオリンピック委員会からの強い延期要請があった。

 国内の聖火リレーも急きょ、中止されている。新型コロナウイルス感染がまん延する中、安全管理と大会収益や経済効果を天秤(てんびん)にかけ、判断を先延ばししてきた関係機関の責任は免れない。

 IOCと日本政府は「2021年夏までに開催する」ことで合意している。丸1年延ばすとの見方があれば、来春を推すIOC委員もいるという。

 新たな開催期間が曖昧なままでは、代表選考や選手の心身の調整に響く。他の競技大会との日程のやりくりも進まない。

 大会組織委には準備を一からやり直すに等しい負担がかかる。会場やスタッフ、ボランティアの確保、追加経費の積算もおぼつかない。国内外からの予約を取り扱う民間の宿泊施設、旅行会社にとっても事情は同じだろう。

 開催期間は4月中旬のIOCと日本側との会合で詰める。一日も早く明示してもらいたい。

 最大の懸念材料は、新型コロナの流行の行方だ。世界的大流行が1年は続くとみる専門家もいる。日本で収まっていても、海外からの感染者を起点に再び広がる恐れがあるという。安倍晋三首相が目指す、全ての国の選手と観客がそろう「完全な形」で開催できるのかは見通せない。

 新たな会期とともに▽どのような状況なら開催するのか▽その最終判断はいつ行うのか▽環境が整わなければ中止するのか、再延期もあるのか―といった方針を詳しく示す必要がある。再度の混乱を抑える鍵になるはずだ。

 感染症は新型コロナだけではない。ジカ熱、はしかなどに悩まされた五輪もあった。感染者を早期に見つけ、大会中の拡大を防ぐ態勢を強化しておくべきだ。

 東京五輪に臨む海外の選手団の多くが熱中症対策に神経を使っていた。暑い7〜8月に開かざるを得ないのは、収益の大半を放送権料に依存するIOCがテレビ局の意向に逆らえないためだ。

 五輪招致に名乗りを上げる都市は減っている。IOCのバッハ会長や安倍首相が強調する「選手第一」が本心なら、肥大化し利害に振り回される五輪のあり方自体に切り込まなければならない。

(3月26日)

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