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東京の重大局面 最悪の事態を避けねば

 新型コロナウイルスの感染者が東京都で急増し、小池百合子知事は今週末の外出自粛を呼びかけた。

 爆発的な感染拡大が近づいているとの見方もある。小池知事は「重大局面」にあると強調している。

 先日の3連休は暖かく桜の開花も進み、繁華街などが多くの人でにぎわった。自粛に疲れ、警戒感が緩んだ面もあったろう。

 そこで感染した場合、潜伏期間を経て表面化するのはまだ先だ。急増し始めた現状から、さらなる増加をどれだけ食い止められるかが鍵になる。

 人口が集中する首都圏で爆発的拡大に至れば、医療態勢が追いつかず、死者が急増する事態に陥る恐れがある。地方との往来も多く全国に波及する懸念は強い。

 小池知事は都市封鎖の可能性にも言及している。政府は東京の状況を踏まえ、私権制限につながる緊急事態宣言を出す前提として必要な対策本部を設置した。

 特効薬やワクチンは開発されておらず、防止には人と人の接触をできるだけ減らすしかない。

 2月に患者が急増した北海道が行った外出自粛要請には一定の効果があったとされる。防止策を話し合う専門家会議は、人の密集や換気の悪い密閉空間を避けるといった行動を国民に求めている。最悪の事態を回避するには、一人一人の心掛けが重要になる。

 長野県内の感染者数は1桁にとどまるが、感染経路が推定できないケースが確認されている。地域で隠れた感染が広がっている可能性もあり、油断はできない。

 一方、あらゆる活動で自粛が続くことの社会的損失は甚大な規模になっている。我慢も限界に近いというのは当然の心情だろう。

 だからこそ、感染が現在どんな状況にあり、市民にどこまで我慢を求めるかというメッセージを発する国や自治体の責任は重い。

 今回の東京都の対応は、後手に回ったと言わざるを得ない。

 専門家会議が、都市部を中心に欧州のような爆発的急増が起きる可能性もあるとの見解を発表したのは3連休前の19日。小池知事が記者会見で防止への協力を強く呼びかけたのは連休後だった。

 連休のころはまだ東京五輪の延期が決まっていなかった。当時は都独自の緊急宣言まで検討しつつ、五輪中止の引き金になりかねないと気をもんでいたという。

 小池知事は結局、五輪延期決定まで外出自粛要請に踏み切らなかった。優先順位を間違えたとの批判は免れないだろう。

(3月27日)

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