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コロナ禍と介護 途切れさせない手だてを

 高齢者介護の現場に新型コロナウイルスの感染が広がっている。集団感染が発生し多数の死者が報告される事態も起きた。

 感染を防ぐため、入所施設は家族らとの面会を制限し、通所介護(デイサービス)や短期宿泊(ショートステイ)の休業に踏み切る事業所もある。

 持病を抱える利用者も多く、重症化するリスクは高い。制限や休業はやむを得ない対応だ。

 一方で、家族の不安や負担が増し、当事者の症状が悪化する恐れがある。家族や介護者を支えながら、必要な介護を途切れさせない手だてが不可欠だ。

 施設での集団感染は海外で深刻な状況を招いている。世界保健機関(WHO)は、欧州の死者の半数が入所者だと指摘した。

 重症化しても病院への搬送を望まない人が相当数いたとされる。感染防止策や医療態勢が不十分な施設内で治療と介護を余儀なくされ、対応が追いつかなくなった実態が浮かび上がっている。

 国内でも同様のことが起きつつある。千葉県は4月28日、県内死者31人のうち17人が2カ所の施設入所者だと明らかにした。大半は施設内で療養中だったという。

 富山市では、相次いで感染が判明した入所者の入院先が見つからなかった。職員も不足し施設内での対応を迫られた。

 国は、高齢者施設で重症化の恐れがある感染者は円滑に入院医療につなげるよう新型コロナ対策の基本方針に明記している。

 救える命が見放されているとすれば問題だ。国や自治体が中心になって介護チームを編成し、現場に派遣して医療につながるよう支援する仕組みを考えたい。

 通所介護や短期宿泊の休業は、在宅で介護を続ける当事者や家族にとって死活問題になる。

 厚生労働省によると、4月13〜19日に全国858事業所が休業した。多くが自主判断だ。終息が見通せないと、今後も自主休業が広がる可能性がある。

 代替策として、国は、休業した事業所の職員による訪問介護を認めている。ヘルパーによる訪問介護や別の事業所の利用に切り替える方法もある。

 どんな介護サービスが提供できるか。自治体は、事業者との連携を深め、利用者側の相談に速やかに応じられる環境を整えたい。

 心配なのは介護職の慢性的な人手不足だ。コロナ禍で人材が離れれば、地域の介護は成り立たなくなる。早急に介護職の待遇改善を進めるよう、国に求めたい。

(5月4日)

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