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検察庁法改正案 批判受け止めて撤回を

 検事長らの定年延長を可能にする検察庁法の改正案に対するツイッター上の抗議が、9〜10日にかけ一時約380万件に達した。

 人事を通して検察庁の独立性がゆがめられかねない、との批判が広がった。抗議は記録的な数といっていい。

 コロナ禍への対策が不十分で国民の疲弊が深まっている。それなのに、感染対策と無関係な法案の成立を急ぐ政府、与党への不信感も抗議を後押ししたのだろう。

 野党は「政府は感染症による危機状況を悪用している」と批判している。当然の反応だ。

 安倍首相はきのうの衆院予算委員会で「懸念は全く当たらない」などと述べ、抗議の拡大について正面から答えなかった。政府は批判を受け止めるべきだ。

 改正案に問題が多いことは明白である。まず内閣によって恣意(しい)的な検察官の人事が行われる可能性があることだ。

 国家公務員の定年を65歳に段階的に引き上げるのに合わせ、検察官の定年も65歳に引き上げ、幹部に63歳の役職定年制を設ける内容だ。看過できないのは、内閣が必要と認めた場合は役職定年を延長、再延長できることだ。

 これでは政権の意向に沿う人物を、上層部に配置し続ける懸念が拭えない。

 検察官は起訴権限をほぼ独占し、政治家の不正も捜査する重い職責がある。時の政権からの独立が欠かせない。改正案が成立すると三権分立が脅かされる。

 安倍政権は1月末、国家公務員法の条文を適用し、黒川弘務・東京高検検事長の定年延長を閣議で決めている。安倍首相は違法性を指摘されると、法解釈を変更したと突然表明した。

 森雅子法相や人事院幹部は筋の通らない答弁を繰り返し、撤回や修正を余儀なくされた。法違反を指摘されたため、後付けで解釈変更を持ち出した疑念がある。改正案には混乱を終息させる狙いも透けている。

 改正案は、国家公務員法改正案と一体となった「束ね法案」として衆院内閣委員会で一括審議されている。これでは十分な審議ができない。検察庁法改正案は切り離して議論する必要がある。黒川氏の定年延長との関連をただす必要があるのに、与党が森法相の出席を拒否したことも問題だ。

 改正案は認められない。コロナ禍への対応に追われる現状では十分な議論も困難だ。急ぐ理由はない。政府は撤回して修正し、終息後に再提出するべきだ。

(5月12日)

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