長野県のニュース

図書館の自由と感染防止で葛藤 県立長野図書館 来館者に「連絡票」要請

来館者に任意で連絡票への記入を求めることにした県立長野図書館=16日、長野市来館者に任意で連絡票への記入を求めることにした県立長野図書館=16日、長野市
 新型コロナウイルス特別措置法に基づく緊急事態宣言が長野県でも解除されたのを受け、16日に再開した県立長野図書館(長野市)は来館者に利用カードの番号や氏名、連絡先の記入を求める対応を取った。日本図書館協会(東京都)の感染予防ガイドラインに基づく対応だが、来館者のプライバシー保護との兼ね合いに、職員は複雑な心境だ。

 同館は約1カ月ぶりの再開に合わせて1階入り口近くに机を並べ、「連絡票」と投函(とうかん)箱を設置。氏名や住所などが登録された利用カード所持者にはカード番号、カードを持っていない人には氏名や連絡先の記入を任意で求めることにした。

 政府は緊急事態宣言解除に当たり業種ごとにガイドライン作成を要望し、同協会は図書館としてのガイドラインを作成。利用者から感染者が出た場合に他の利用者への連絡などのために、「氏名及び緊急連絡先を把握し、来館者名簿を作成する」との指針を示した。これを受け、県立図書館は、任意で記入してもらう連絡票の導入を決定した。

 一方、同協会は「知る自由」を保障するため、1979(昭和54)年に改訂した「図書館の自由に関する宣言」で、「図書館の利用事実に関しても、利用者のプライバシーを侵さない」とした。

 森いづみ館長はガイドラインと宣言との兼ね合いに「悩んだ」とするが、「公共施設として感染予防対策が必要だった」とする。

 この日、過去の新聞記事を読むために同館を訪れた長野市の近藤文雄さん(70)は「万一のこともある。良いことだと思う」と理解を示した。森館長は「図書館の自由の確保と感染対策をどう両立するか、いろんな意見を聞き、模索していきたい」と話した。

 信州大経法学部の成沢孝人教授(憲法学)は「図書館に行ったかどうかという情報だけであれば、思想信条の自由を侵すことには直結せず、新型コロナ対策という利用目的に限れば許されるのではないか。図書館が情報収集の目的を明確に示すことなどが重要だ」としている。

(5月17日)

長野県のニュース(5月17日)

日付で探す

ジャンルで探す

ニュースランキング
本日のTop10(5/19 00:00更新)