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黒川氏が辞任へ 特例維持なら疑念消えず

 東京高検の黒川弘務検事長が安倍晋三首相に辞表を提出した。賭けマージャン疑惑を報じられ事実を認めた。

 刑法では賭博は50万円以下の罰金などに処せられる。検察幹部が興じるのは言語道断だ。辞任は当然である。

 コロナ禍の緊急事態宣言で外出自粛下だ。責任は重い。森雅子法相は黒川氏を訓告処分とした。懲戒に当たらない。課せられている責任を考慮すると軽すぎる。

 相手は全国紙の記者や元記者だ。正当な取材活動とは到底いえない。猛省するべきだ。

 政府は1月、法解釈を変更し、定年の63歳を迎える黒川氏の定年延長を閣議決定した。黒川氏は政権に近いとされる。検事総長への道を開くためだとして、国民や野党の批判を集めていた。

 政府は黒川氏は検察に欠かせない人材と説明してきた。森法相は「責任を痛感している」と述べている。安倍首相ら内閣全体の責任も問わねばならない。

 政府は今回の不祥事による黒川氏の辞任のみで、一連の幕引きを図る構えだ。問題がすり替えられる恐れがある。検察人事に政権が干渉する仕組みの排除が必要だ。

 検察は起訴権限を独占し、政治家も捜査対象とする。政権からの独立が欠かせない。政府の恣意(しい)的な人事は三権分立を脅かす。

 必要なことは二つだ。まず、政府が1月末に黒川氏の定年延長を閣議決定した際の法解釈の変更を取り消すことである。

 定年延長の規定がない検察官に、国家公務員法の延長規定を適用した。従来は検察官は国家公務員法の適用外とされ、人事院も国会でそう答弁してきた。

 検討過程は明確でない。森法相は「口頭決裁」と主張し、関連書類には日付の記入もない。黒川氏の定年延長のため、後付けでつじつまを合わせた疑念がある。

 今国会に提出された検察庁法の改正案も見直すべきだ。

 国家公務員の定年延長に合わせ、検察官の定年も65歳に引き上げ、63歳の役職定年制を設ける。問題は内閣や法相が認めれば幹部は留任できる特例だ。

 政権に都合のよい人物を幹部に据え置く恣意的運用がされる懸念がある。黒川氏の定年延長と整合性を取る狙いがあるとされ、国民の反発の大きな理由になった。

 政府は今国会の成立を断念したものの、秋の臨時国会で成立を図る方針だ。これでは検察の独立は守れない。特例規定を削除し、定年と役職定年は年齢のみの要件で一律とするべきだ。

(5月22日)

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