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留学生の支援 分け隔ては認められない

 外国人の留学生だけに厳しい要件を設け、分け隔てた扱いをすることは認められない。新型コロナウイルスの影響で困窮する学生らに政府が支給する緊急給付金である。

 大学や大学院、専門学校の学生らを対象に、経済的な理由で修学の継続が困難な場合、10万〜20万円を支給する。学費や生活費を賄うアルバイト収入が5割以上減ったことなどが要件となる。

 留学生はそれに加えて「学業成績が優秀な者」に限定された。成績評価係数が2・30以上との要件を文部科学省が示している。「優良可」などの評価を0〜3の数値に置き換えて算出する。およそ成績上位3割に相当するという。

 留学生への奨学金である「学習奨励費」の給付要件を、この場合にも当てはめた。「日本に将来貢献するような有為な人材に限る」ためだとするが、緊急給付金は困窮した学生を助けるのが目的だ。奨学金と同じ基準で線を引くのは筋が通らない。

 萩生田光一文科相は閣議決定の際の会見で成績の要件に触れず、事務処理の要領で示した。審査には大学などがあたるため、その判断によっては、要件を満たさなくても給付の対象になる可能性はあると文科省は説明する。場当たりな苦しい言い分だ。

 政府は2008年、当時12万人ほどだった留学生を30万人に増やす計画を打ち出した。既にその目標を達し、近年はベトナム、ネパールをはじめアジア各国からの留学生が目立つ。

 多くは、在留資格外の活動として認められたアルバイトで学費や生活費を稼ぎながら学んでいる。技能実習の外国人が制度上働けない飲食店などのサービス業に主に従事し、事実上の労働者として人手不足の現場を補ってきた。

 それでいながら、雇用保険に加入できないため、仕事がなくなっても失業給付は受けられない。生活保護の制度を利用する権利も認められていない。

 留学生の積極的な受け入れに旗を振ってきたのは政府だ。外出自粛や休業の要請で窮地に追い込まれているのを知りながら、放り出すような対応を取っていいはずがない。一般の学生と区別なく手を差し伸べる責務がある。

 留学生だけでなく、日本で働く外国人の多くが雇用の不安定さから困窮に直面している。一方的な解雇や雇い止め、退職の合意を強要されたといった訴えが支援団体に相次ぐ。雇用を守り、生存権を保障する手だてが欠かせない。

(5月23日)

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