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相模原事件4年 見過ごせない施設の実態

 障害者を差別する根底に何があったのか。それは今もつながっていないか。常に問い続けなければならない。

 相模原市の知的障害者施設「津久井やまゆり園」で入所者ら45人が殺傷された事件から26日で4年がたつ。

 殺人罪などに問われ、死刑が確定した元職員の植松聖死刑囚は、施設職員が入所者を人として扱っていないと感じたと、法廷で証言している。裁判所は実態を掘り下げる審理を全くせずに、施設での勤務経験が犯行動機の基礎となったと認定した。

 障害者が暮らす施設の日常に問題があるとすれば、見過ごせない。司法での解明が不可能になった今、行政の責任で徹底した検証が求められる。

 同園の運営を巡っては、不適切な対応が行われていたとの情報が昨年秋以降に寄せられ、設置者の神奈川県が第三者委員会を設けて検証してきた。

 今年5月に公表した中間報告によると、一部入所者の居室を長期間にわたって24時間施錠したり、見守り困難を理由に身体を拘束したりしたことが確認された。

 障害者虐待防止法は、正当な理由がない身体拘束を虐待としている。やむを得ない場合でも、切迫性、非代替性、一時性の3要件を全て満たさねばならない。

 同園は3要件のうち一つでも該当すれば拘束できると理解し、会議で伝達していたという。身体拘束は重大な人権侵害に当たるとの認識が組織も個人も不十分で、県も任せきりにする傾向があったと指摘している。

 こうした施設の実態と植松死刑囚の犯行動機とは、関係があるのか。勤務当時にもさかのぼった丁寧な検証が必要だ。

 第三者委は、新型コロナウイルスの影響で運営法人からの聞き取りができないまま中間報告をまとめ、活動を終了している。

 神奈川県は第三者委を検討部会に改組し、県立障害者施設全体に対象を広げて支援改善に取り組む方針だ。やまゆり園の検証をこのまま終わらせてはいけない。

 障害者に対する虐待は、同園や障害者施設の運営だけに関わる問題ではない。

 植松死刑囚は「意思疎通ができない重度障害者は周囲を不幸にする不要な存在」とゆがんだ考えを膨らませ、犯行に至った。

 私たちも身体拘束を「言葉で分からない人は仕方ない」と考えていないか。コロナ禍で追悼式が中止となった今年、自らの障害者観を見つめる機会にもしたい。

(7月24日)

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