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新型コロナ対策 事態に即応できていない

 政府は機能不全に陥っていないか。

 全国で急速に拡大する新型コロナウイルス感染の対策強化を巡る対応である。

 都道府県による強化を念頭に統一した指標や手法を決める方針だが、7月31日の分科会には具体案を示さなかった。

 新規感染者が3日続けて1日当たり千人を超え、各自治体から懸念の声が高まっている。事態に即応できない政府の責任は重い。

 感染状況や医療体制は、地域によって異なる。自治体が主体的に対応するのは当然だ。

 再拡大を招いた要因は何か。

 春の感染第1波は緊急事態宣言に伴う休業や移動自粛の要請を経て、沈静化した。6月に入り県境をまたいだ移動が全面解禁されて以降、増加に転じている。

 政府は、第2波への備えを強調しながら「現在の状況は前回(第1波)とは異なる」と繰り返し、「GoToトラベル」を東京除外で前倒して実施している。

 人の動きの活発化が再拡大につながっているのは明らかだ。経済回復を急ぐ政府の姿勢が、むしろ傷口をどんどんと広げているのではないか。

 自治体に感染予防の強化を任せるのなら、人の移動をことさら推進する政策は改めるべきだ。

 GoToを巡っては、分科会の尾身茂会長が国会の閉会中審査で、開始の判断に時間をかけるよう政府に提言したが、受け入れられなかったと明らかにした。

 開始1週間後の発言だ。専門家が抱く懸念を政府が無視したことになる。開始を前に国民に知らされるべき情報だった。

 分科会は、危機感や対策を積極的に発信した専門家会議の後継として新設された。非公開で、議事概要のみを公表している。

 感染予防の鍵は一人一人の行動にある。それぞれの生活に合わせて取り組んでいくためにも、専門家の意見は重要な判断材料だ。

 分科会の議論自体を公開にするか、専門家自身が提示した意見を終了後すぐに明らかにする機会を設ける必要がある。

 感染拡大を抑えなければ、経済回復は望めない。対応が遅れるほど、経済や暮らしに与える影響は大きくなる。

 暮らしをいかに守るか。焦って経済を回すより、これまで実施した給付金や融資対策などの効果を急ぎ検証しなければいけない。

 国民の不安は増している。安倍晋三首相は早期に臨時国会を召集し、現状にどう対応するのかを説明し議論に応じる責務がある。

(8月1日)

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