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無罪確定 山口さん「ほっとした」 安曇野の特養死亡事故

逆転無罪が確定し、記者会見で質問に答える山口けさえさん=12日午後2時36分、松本市の県弁護士会松本在住会館逆転無罪が確定し、記者会見で質問に答える山口けさえさん=12日午後2時36分、松本市の県弁護士会松本在住会館
 安曇野市の特別養護老人ホームで2013年、入居者の女性=当時(85)=がおやつのドーナツを食べた後に死亡した事故で、業務上過失致死罪に問われ、二審で逆転無罪が確定した松本市の准看護師山口けさえさん(60)が12日、同市の県弁護士会松本在住会館で記者会見した。「お亡くなりになった方のご冥福をお祈りします」とし、無罪確定を「本当に良かった。ほっとした」と述べた。

 黒い上下のスーツ姿で現れた山口さん。時折ハンカチで額の汗をぬぐいながら丁寧に答えた。利用者の介護に心を砕いてきたのに「事実をねじ曲げられ、罪人扱いされた」とした。6年半以上続いた捜査や公判について「精神的に追い詰められた」と吐露した。施設の仲間や家族、友人、全国の支援者や弁護団が「私にとって大きな力、支えだった」と感謝した。

 弁護団長の木嶋日出夫弁護士(岡谷市)は過失について、基礎的な事実調査をせず安易に捜査、起訴するなど「検察の数々の誤りを高裁判決が浮き彫りにした」と批判。「二度とこのような乱暴な捜査、起訴がない社会にしたい」と語った。

 介護現場での事故で職員個人の刑事責任が問われた異例の裁判。各地でおやつの提供をやめる施設が相次ぐなど影響が出ていた。木嶋弁護士は「気持ちよく介護できる現場にしなければならないという役割を背負った裁判だった」。山口さんは全国の関係者に向け、介護は大変だがやりがいは大きいとし「誇りを持って一緒に頑張っていければ」と呼び掛けた。

 13年12月、特養「あずみの里」で入居女性がドーナツを食べた後に死亡し、おやつの配膳を手伝った山口さんが業務上過失致死罪で在宅起訴された。19年3月の一審地裁松本支部判決は有罪だったが、今年7月の二審東京高裁は過失を認めず逆転無罪を言い渡した。東京高検は上告しなかった。

(8月13日)

長野県のニュース(8月13日)