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満蒙開拓 芝居で追体験を 箕輪の劇団 引き揚げ 子を失った母描く

旧満州で娘を売る場面を演じる、稽古中の伊東さん旧満州で娘を売る場面を演じる、稽古中の伊東さん
 箕輪町の劇団「歩(あゆみ)」は18、19、20日の3日間、満蒙(まんもう)開拓の歴史を扱った一人芝居「花いちもんめ」(宮本研作)を町文化センターで上演する。旧満州(現中国東北部)に子どもを残した母親の役を、団員の伊東初絵さん(49)=伊那市=が演じる。演出の飯島岱(たかし)さん(75)=箕輪町=は旧満州生まれで、「戦後75年の節目に多世代に見てもらい、当時を追体験してほしい」と話している。

 芝居は、一人の女性が開拓団の花嫁になるべく渡った旧満州での記憶を、戦後、巡礼をしながら見つめ直す物語。娘を中国人に売り、引き揚げ直前に息子を病で亡くした心情を時代とともに描き出す。

 飯島さんは旧満州・鉄嶺市生まれ。現地の記憶はないが、親戚が役所や満州鉄道(満鉄)に勤めており「比較的裕福な暮らしだったと思う」。今回、原作にあるような開拓移民家族がいた事実を改めて直視したという。「固定的に捉えられない歴史を常に拾い集めなければいけない。そうした歴史の重みを伝えるのが芝居の力だ」と話す。

 伊東さんも今回、満蒙開拓平和記念館(阿智村)を訪れ、残留孤児を育てた中国人、親を亡くした引き揚げ者など立場の異なる証言から歴史をひもといた。「知らぬうちに国策に翻弄(ほんろう)され、頼れる相手がいなかった母親の一生を、『こういう人が二度と現れない世の中であって』と願いながら演じたい」とする。

 各日午後7時開場。千円。観覧者はマスクを持参する必要がある。問い合わせは伊東さん(電話080・6930・3476)へ。

(8月14日)

長野県のニュース(8月14日)