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介護担う子ども 見えにくい存在や実態

 病気や障害のある家族を介護する18歳未満の子ども「ヤングケアラー」の支援に向け、一部の自治体が動き始めている。

 介護の負担が大きければ、適切な教育を受けられず、心身の成長や将来の自立にも悪影響が出かねない。国による支援の手が及んでいない分野だ。

 少子高齢化やひとり親家庭の増加を背景に、全国各地で潜在化している恐れがある。実態の把握に努め、支援策の整備につなげなければならない。

 先行して取り組んでいるのが埼玉県だ。今年3月、家族を無償で介護する人の支援を定めた「ケアラー支援条例」を全国で初めて制定した。ヤングケアラーの存在把握と支援計画策定のため、県内全ての高校2年生約5万5千人の調査に乗りだしている。

 北海道栗山町も支援条例を検討し、浜松市は子どもの時に家族の介護をした経験者からの聞き取り調査を始めた。

 少子高齢化のスピードや介護の深刻さを肌で感じる自治体が国に先んじた形だ。今後、各地に広がる可能性もある。国は歩調を合わせ、自治体の支援を後押しできるよう対応する必要がある。

 ヤングケアラーの存在や実態は見えにくい。

 国による明確な定義がなく、社会的な認知度が低い。家族の障害や病気を相談することに引け目を感じる子も多く、家族を支えるのは当たり前と考えて自分が当事者だと気づかない子もいる。

 介護を抱え込むと、どんな影響が起こり得るのか。自らの人生に重ねて理解してもらうことが必要だ。同時に子どもが相談しやすい体制づくりが欠かせない。

 介護の相手や内容はそれぞれに異なる。家庭環境や学校での様子も含め丁寧に話を聞き、状況を確認し、子どもに寄り添った支援につなげることが大切になる。

 関係機関の共通認識も重要だ。ヤングケアラーの存在や支援の必要性を分かっていないと、福祉と学校教育の担当者間で十分に意思疎通が取れない恐れもある。

 一般社団法人「日本ケアラー連盟」は、ヤングケアラーを支援する効果的なプログラム作りや人材育成などに取り組んでいる。こうした動きとも連携し、問題の周知を図りたい。

 日本の未来を担う子どもの可能性が、過度な介護によって奪われるようなことがあってはならない。問題があれば全国どこでも等しく支援が受けられるよう、取り組んでいかねばならない。

(8月18日)

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