長野県のニュース

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記者は質問する権利がある。私は答えない権利がある―。パウエル元米国務長官がそう語った本を読み、記者会見に臨む気持ちが楽になった、という。菅義偉さんがインタビューで明かしている(星浩著「官房長官 側近の政治学」)

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菅さんが読んだ本かどうかは分からぬが、パウエル氏の著書「リーダーを目指す人の心得」(井口耕二訳)にこんな逸話を見つけた。湾岸戦争の際にメディア対応でミスをした不慣れな部下を慰めつつ、詳細なメモを渡して記者対策の技術を指南したと

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「答えたくない質問には答えなくていい」「彼らは質問を選べる。君は答えを選べる」など15項目ある。「賛成できない前提を含む質問には答えない」「追い打ちの質問が来るのはトラブルを意味する」。なるほど。官房長官会見の「虎の巻」はこれだったかと想像してしまった

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「全く問題ない」「批判は当たらない」。政権の問題に質問が及ぶたび、菅さんは木で鼻をくくったような短い言葉で封じた。無表情に不快感をにじませて。きのう自民党の総裁に選出された。一国のリーダーになってもその姿勢は変えないのだろうか

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パウエル氏のメモは初級者向けだろう。同書はこうも強調する。記者の向こう側で耳を傾けている人々に話していることを忘れてはならない。国民はリーダーに誠実な対応を期待している―と。そこは読んでいないのか。だとすれば、心得違いも生じていよう。今から熟読してはいかがか。

(9月15日)

長野県のニュース(9月15日)