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精神科病院に40年間入院 国を提訴

記者会見する伊藤さん(中央)、東谷さん(左)ら=30日午後3時5分、東京・霞が関記者会見する伊藤さん(中央)、東谷さん(左)ら=30日午後3時5分、東京・霞が関
 精神科病院に約40年間入院を余儀なくされ、憲法が定める居住や職業選択の自由、幸福追求権などを侵害されたとして、群馬県の伊藤時男さん(69)が30日、国に3300万円の損害賠償を求めて東京地裁に提訴した。原告側が把握する限り、精神医療の長期入院で国の責任を問う訴訟は初めて。

 訴状によると、伊藤さんは統合失調症と診断され、1973(昭和48)年に福島県内で入院。2011年の東日本大震災で茨城県内に転院し、翌12年に退院した。その間、病状は落ち着いており退院を強く希望したが受け入れられず、入院の長期化でその意欲を失う「施設症」になったと主張している。

 原告側は、1955年ごろ精神疾患の薬物治療が可能になり欧米諸国が地域医療への移行を進めたのに、日本政府は精神科病床を増やし、精神科病院への長期低利融資を可能にして病院設立も促したと指摘。68年には世界保健機関(WHO)が長期入院を促す政策の転換を勧告したのに放置してきたとも訴えている。

 提訴後の記者会見で伊藤さんは「早く退院していれば結婚もできたはず。この裁判が長期入院で絶望している仲間の退院につながることを願う」。伊藤さんが所属する精神医療国家賠償請求訴訟研究会(東京)代表で諏訪郡富士見町のソーシャルワーカー東谷幸政さん(65)も「裁判を通じて国民に精神科医療の実態を知ってほしい」と語った。

(10月1日)

長野県のニュース(10月1日)