TOP2014年10月心苦しさ胸に王滝去る 子どもたちから感謝の歌
自衛隊員に感謝の歌を披露する王滝小中学校の子どもたち=17日午前8時18分、王滝村
暗い中、宿舎前で車両にリュックを積み込む消防隊員=17日午前5時34分、王滝村の八海山

 御嶽山での今年の捜索活動打ち切りが決まってから一夜明けた17日、警察、消防、自衛隊の捜索隊員は早朝に撤収を始めた。捜索用の機材を車に積み込みながら、隊員たちは行方不明者7人を発見できずに現場を去る無念さを口にした。校庭が自衛隊車両の駐車場所となった木曽郡王滝村の王滝小中学校の児童生徒は、自衛隊員に合唱を披露して見送った。同日午前のうちに、全ての捜索隊員が王滝村を後にした。

 陸上自衛隊は午前6時ごろから撤収準備を始め、約150人が泊まった同村体育館では隊員が毛布やストーブなどを運び出した。松原スポーツ公園に宿営した部隊は、簡易風呂のブルーシートやパイプを片付けていた。東部方面総監部付隊広報室の灰垣孝司2曹(34)は「不明者を発見できずに去るのは誠に残念」と語った。

 王滝小中学校では、児童生徒47人が校庭で「いつまでも」など3曲を歌い、自衛隊員約40人が作業の手を止めて聞き入った。生徒会長の中学3年石井萌乃さん(15)は「御嶽を愛してくれた多くの方が、けがをしたり命を落としたりしたのはとても悲しかった。命懸けの捜索、ありがとうございました」と感謝の気持ちを伝えた。

 隊員の1人は「胸に響く歌声だった。歌詞に出てきた『ふるさと』は、捜索を終えて帰るわれわれにとって印象的なフレーズだった」と感極まった様子で話した。

 王滝村の八海山周辺からは、県内外の消防車両が続々と帰路に就いた。隊員は全員で宿泊施設の男性に「施設をお借りして、ありがとうございました」と礼を述べた。飯田広域消防本部の遠山和樹さん(29)は取材に、「打ち切りは心苦しい気持ちでいっぱい。再開された時には捜索に加わりたい」と話した。

 御嶽山の3合目にある同村の田の原登山口へ続く県道沿いの旅館では午前7時前、警視庁の約90人が白い息を吐きながら荷物を車両に積んだ。関東管区機動隊長野中隊の浅岡真中隊長(42)は「行方不明者を全員下山させ、ご家族の思いを果たそうとしたが一時中断となり申し訳ない。春の雪解け後、捜索の指示、命令が下されれば即応できるようにしたい」と雪辱を期していた。

 安否が分からない人の家族らが待機した同郡木曽町の旧帝室林野局木曽支局庁舎でも、町職員や警察官らが後片付けをした。通り掛かった女性は、町職員に「お疲れさま」と声を掛けていた。

 同町役場では庁舎前の「災害対策本部」の看板はそのままに、捜索状況などを記した総務課のホワイトボードを撤去。職員は書類や支援物資の整理に追われた。同課の松原研朗係長は「まだ行方不明者がおり、気持ちの切り替えは難しいが、住民に迷惑をかけないよう止まっていた業務もしっかり行いたい」と話した。

2014年10月17日掲載