TOP2015年09月御嶽山で犠牲、松本の市民農園利用者 デジカメ、家族の元に

 昨年9月27日の御嶽山噴火で犠牲になった松本市四賀地区の「緑ケ丘クラインガルテン(滞在型市民農園)」の利用者、横田和正さん=当時(61)=のデジタルカメラが、今夏の行方不明者の再捜索時に見つかり、家族の元に戻っていたことが20日、分かった。画像も確認でき、登山時の写真は十数枚あった。

 岡山県倉敷市に住んでいた横田さんは2012年から同農園を利用。登山が好きで、妻の啓子さん(62)によると、月の約半分は四賀を拠点に暮らし、長野県内の山に頻繁に登っていた。美ケ原高原で活動する「美ケ原高原パークボランティアの会」に所属。噴火当日は、会の有志5人と御嶽山に登っていた。

 噴火には、山頂近くの八丁ダルミで巻き込まれたとみられる。約1カ月前に県警から届いたカメラの画像データには、色づいた木々や花などが写っていた。噴火時刻の数分前は八丁ダルミの様子が収められ、黒っぽい灰が噴き上がる噴火のカットが最後。撮影時刻は、噴火時刻の午前11時52分だった。

 啓子さんも、横田さんに誘われて乗鞍岳、八ケ岳など県内各地の山を登った。横田さんが一度登って気に入った山は、次に登る時に必ず啓子さんを誘った。啓子さんは「無事に帰って来ていたら、今度は『御嶽山に行こう』と誘ってくれたんだろうな。写真なんて撮ってないで早く逃げてくれたら...」と悔やむ。

 カメラは、今も時を刻み続ける横田さんの腕時計と一緒に仏壇に供えている。横田さんの死は今も受け入れられていないが「前に進めないから受け入れようと思う」と啓子さん。「くよくよしていても仕方がない」

2015年9月21日掲載