TOP2015年09月岐阜側・五の池小屋の管理人 災害学べる小屋へ 常連・他小屋に支えられ
五の池小屋に宿泊した登山者を送り出す市川さん(右)。奥の山は御嶽山摩利支天山=21日午前6時58分、岐阜県下呂市

 御嶽山の岐阜県側9合目にある五の池小屋(下呂市)の管理人市川典司(のりじ)さん(45)=下呂市=が21日、現地で信濃毎日新聞の取材に山小屋の様子を語った。昨年の噴火の影響が残り、登山者は例年より少ないものの、常連客らに支えられながら、営業を続けている。自分たちが踏ん張ることが御嶽山一帯を活気づけることにつながると信じている。

 「目の前に見える山に登れないことが悔しい」と市川さんは、山小屋に近い摩利支天(まりしてん)山や剣ケ峰を見つめた。噴火警戒レベル2(火口周辺規制)の御嶽山の現在の入山規制は火口から約1キロ。それ以外でも安全確認ができておらず、通れない登山道や営業できない山小屋がある。

 定員60人の五の池小屋は標高約2800メートルにあり、7月1日に営業開始にこぎ着けた。小屋にヘルメットや防塵マスクなどを充実させた。それまでは市川さんらスタッフは北アルプス上高地の徳本(とくごう)峠小屋(松本市)で働いて、営業再開に備えた。

 五の池小屋周辺は紅葉が最盛期。北側の継子(ままこ)岳の周回コースは、ダケカンバの黄色やナナカマドの赤色が例年以上に鮮やかに色づく。だが、この時季に100人以上の年もあった宿泊客は今年、半分以下にとどまる。

 「いろいろなことが大きく変わってしまった。でも常連客や地域の人から応援が届く」と市川さん。約3カ月間の営業中、常連客が酒や菓子など「いつも以上の差し入れ」(市川さん)を持って訪れた。あまり登山をしなかった地元住民が日帰りで訪れることもあった。

 小屋周辺のライチョウや高山植物のかれんな姿は、今夏も確認できたという。市川さんは「登山者、住民らが噴火から教訓を得て、学べるような小屋にしたい」と考えながら、登山者を待っている。

2015年9月22日掲載