TOP2015年09月最後の噴煙写真「教訓に」 遺族願い、木曽で展示
展示された野口泉水さん撮影の写真を見る妻の弘美さん(左)と今社長=26日午前10時50分、木曽町三岳の御岳ロープウェイセンターハウス
展示された写真。野口泉水さんが最後に捉えた噴煙の様子が写っている

 昨年9月27日に起きた御嶽山の噴火災害で亡くなった北安曇郡池田町の会社員野口泉水さん=当時(59)=が最後に撮影した噴煙の写真が、木曽郡木曽町の御岳ロープウェイ鹿ノ瀬駅近くのセンターハウスに展示され、26日午前、妻の弘美さん(57)が訪れた。御嶽山を活火山と知らずに、噴煙を見ても噴火と認識できなかった登山者もいたことから、弘美さんは今後の教訓として生かしてほしい―と期待を寄せた。

 御嶽山に1人で登っていた泉水さんは噴火時、山頂の剣ケ峰にいた。噴火直後、噴煙が立ち上る様子を計4枚撮影した後、噴石の直撃を受けたとみられている。今回、慰霊の目的で12日に鹿ノ瀬駅を訪れた弘美さんが、ロープウェイを運営するアスモグループの今孝志社長(61)に写真を提供し展示が実現した。

 写真は、センターハウスに設けられた献花台の前に飾られた。真ん中に山頂に立つ泉水さんの写真が配され、周囲に噴煙の写真4枚が並んでいる。すぐに逃げず、戸惑いながら噴煙を見上げる登山者の様子が切り取られている。

 26日、弘美さんは展示写真の前で、今社長に「願いをかなえてくれてありがとうございます」と感謝した。「次に噴火が起きたときに、危険な噴煙だと認識して素早い避難行動に移るきっかけに役立ててほしい」と訴えた。

 今社長は、提供を受けてから泉水さんの写真を毎日見ている―と涙ぐんだ。今後は登山者の火山防災に力を入れるとし「訪れる登山者に、御嶽山が活火山であるということや、時には厳しい姿を見せるという現実を知ってもらうことができる」と話した。

 センターハウスでは、御嶽山噴火から1年を機に信濃毎日新聞の掲載写真や号外紙面などを紹介する報道写真展も行っている。

2015年9月26日掲載