TOP2015年10月民間で捜索探る 不明者の父、被災者家族の会加入

 御嶽山噴火の被災者家族でつくる「山びこの会」に、行方不明になっている大学生野村亮太さん=噴火当時(19)=の父敏明さん(56)=愛知県刈谷市=が加入したことが20日、分かった。行方不明者の家族が同会に参加するのは初めて。県災害対策本部の大規模な捜索は今年8月で終結している。同会は、民間による行方不明者の捜索ができないか、具体的な検討を進める。

 昨年9月27日に起きた噴火では、自衛隊や警察、消防が翌28日〜10月16日、救助・捜索活動を行い、犠牲者57人、行方不明者6人となった。雪解け後の今年7月29日〜8月6日の再捜索では、行方不明者1人を発見したが、5人は見つからなかった。

 山びこの会は今年4月に発足。被災者家族の支え合い、火山防災への提言を目指すほか、行方不明者の手掛かりをつかもうと、噴火前後の写真も集めてきた。現在、敏明さん以外に、犠牲者の34家族が参加している。事務局代表のシャーロック英子さん(56)=東京都=は再捜索の終了後、敏明さんらと面会し、意見交換を重ねてきた。

 現在の御嶽山の噴火警戒レベルは2(火口周辺規制)で、行方不明者5人が被災したとみられる火口から約1キロ圏内は入山規制が続いている。敏明さんは今月7日に入会した。入山規制の解除を視野に「個人で捜索の可能性を探るのは限界がある。会を通じて地元や関係団体に協力を求めたい」としている。

 山びこの会は今後、規模や手法を含めて捜索の実現の可能性を探るという。御嶽山の地元には、行方不明者の家族に協力したいとする人がおり、まず木曽郡王滝村の山岳関係者と意見交換する準備を進めている。

<支え合い広げ「次の動きに」>

 御嶽山噴火災害の被災者家族側で行方不明者の捜索を探る動きがあるのは、今夏の再捜索で県災害対策本部の大規模な活動が終結したことに、割り切れなさを感じている家族らがいるためだ。その気持ちに応えようと、被災関係者らは、支え合いをさらに広げたいと考えている。

 昨秋の捜索中断後、長男亮太さんが行方不明となった野村敏明さんは雪解け後の再捜索の時期や場所、手法について県や県警と熱心に意見を交わした。再捜索での発見を期待していたがかなわず、悔しさが残った。「これが夢ならば。覚めてしまえば亮太に会って話ができるのに...」。苦しさが募り、三たびの捜索を願う気持ちが強まった。

 別の行方不明者に同行し、犠牲になった登山者の遺族は登山者らの写真から、足取りをたどろうと準備している。再捜索終結は残念だったといい、「自分にできることは何かを考えたい」と話す。

 8月6日の再捜索の活動後、県災害対策本部長の阿部守一知事は捜索をやりきったとし、「今後同じ形での捜索は考えられない」と終結を表明。発生から一冬越しての大規模捜索は異例とされた。人員や予算などから、同規模の捜索は難しいとみられる。

 県や県警は不定期にヘリコプターで山頂一帯を目視で確認しているが、有力な手掛かりはないという。民間による捜索は、規模や手法にもよるが、山岳関係者の協力が求められる。入山規制中に行うには地元自治体の許可も要る。

 山びこの会は、野村さん以外の行方不明者の家族とも連絡を取っている。会事務局代表のシャーロック英子さんは「行方不明者の家族はよりどころがない状態。みんなで検討し、次の動きにつなげたい」と話している。

2015年10月21日掲載