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第5回 全国フォト×俳句選手権

審査結果


 写真と俳句を組み合わせた作品の全国大会「信濃紀行 第5回全国フォト ×(かける)俳句選手権」(主催・信濃毎日新聞社、特別協賛・ニコン、ニコン イメージングジャパン)の入賞・入選作を紹介します。
 今回は、「自由題」「課題」の2部門を設け、グランプリは自由題の部から選 びました。課題の部は、今年生誕140周年の高浜虚子(1874~1959 年)の俳句(50句)に写真を付ける「A」と、審査員の写真家中谷吉隆さんの 写真(15点)に俳句を付ける「B」に分けて、募集しました。虚子の50句 は、曽孫にあたる審査員の俳人坊城俊樹さんが選び、出題しました。
 10月中旬の締め切りまでに、全国各地から各部門合わせて313人(前回 238人)、1508点(同1195点)の応募がありました。課題Bを中心 に、新しい人の挑戦が多く見られ、激戦となりました。
 審査会は11月10日に都内で開きました。自由題の部の一般と課題の部は中 谷さん、坊城さん、自由題の部高校生以下は俳人の神野紗希さんがそれぞれ審査 にあたり、入賞・入選作を選びました。審査員の講評とともに発表します。

一般の部

グランプリ

平元一幸さん 広島県広島市



準グランプリ

永田龍也さん 長野県茅野市

雪井苑生さん 埼玉県嵐山町



県知事賞

多田檀さん 大阪府高槻市

フォトコン賞

江種幸男さん 広島県福山市

審査員特別賞(中谷)

杉本とらをさん 東京都西東京市

同賞(坊城)

田辺紀子さん 大分県大分市



優秀賞

秋山輝一さん 東京都世田谷区

古関聰さん 神奈川県横浜市

宮崎良一さん 長野県長野市

西村美枝さん 長野県長野市

小林茜さん 群馬県邑楽町

中立喜広さん 京都府亀岡市

牛山金良さん 長野県茅野市

伝田忠三さん 長野県長野市

松林和生さん 兵庫県西宮市

床井和夫さん 栃木県宇都宮市



審査員の講評と感想

中谷吉隆さん(写真家)

新しい人、多数参加に喜び

 全国選手権も5回目を迎えた。新しい人が多く参加してくれたことに、審査員として喜びを感じる。写真と俳句のコラボレーションとは何か、考えながら作品づくりができるようになってきた。  自由題の部で上位に入った作品は、新鮮味が感じられた。2人の審査員が、ほぼ一致して評価した結果だった。自分のフィールドやスタンスを保ちながら、チャレンジする姿勢が見て取れた。きっちり、写真と俳句の響き合いを出してくれた。  一方で、自分のこれまでのスタイルを変えられなかった人も見受けられた。新しさは大事である。  私が審査員特別賞に選んだのは、来年の戦後70年を意識した作品。今の時代を詠むこともポイントだ。

坊城俊樹さん(俳人)

二つのコラボで情を深く

 自由題の上位の作品はレベルが高かった。審査員2人とも異存なしだった。非常に格調の高い作品の一方で、自由でユーモアに富んだ作品も入った。  写真をやっていてフォト×俳句の世界に入ってくる人と、俳句をやっていて入ってくる人がいる。今回は、写真をやっていた人の俳句の腕前が上がっていることに驚いた。勉強していると感じた。俳句の人たちも、もっと大胆な写真、面白い写真が撮れると思う。もう少し頑張ってほしい。  私の審査員特別賞は、二重露出の写真が良かった。  写真と俳句、一つずつだと淡すぎるものが、二つがコラボレーションすることで、情が深く入っていく。フォト×俳句の醍醐味(だいごみ)だ。



入選

渡会克男 千葉県柏市

角喜代鷹 千葉県郡栄町

柴田宏 埼玉県戸田市

須川久 東京都世田谷区

飯野佳代子 埼玉県美里町

太田名緒 長野県長野市

滝沢康幸 長野県須坂市

杉本裕 長野県山ノ内町

山縣昭一 茨城県鹿嶋市

栗原和子 東京都杉並区

川上幹雄 長野県長野市

丸山清子 東京都文京区

溝口祐子 長野県伊那市

福岡育代 東京都北区

大橋志ほこ 栃木県さくら市

二宮正博 福岡県筑紫野市

北村道子 長野県長野市

酒井和平 石川県金沢市

嶋川龍雄 青森県大鰐町

小西瞬夏 岡山県岡山市



課題の部 A

最優秀賞

福岡育代さん 東京都北区



優秀賞

松崎昭宏さん 東京都府中市

南田至啓さん 奈良県天理市

木島 栄さん 長野県小諸市

入選

山縣昭一 茨城県鹿嶋市

清水清一 長野県松川村

千葉隆 長野県長野市

平元 一幸 広島県広島市

田中克佳 滋賀県大津市

唐木孝治 長野県高森町

内田幸雄 東京都文京区

荻原宏祐 長野県長野市

桑島直治 長野県松本市

道信啓子 東京都江東区



審査員の講評と感想

坊城俊樹さん(俳人)

膨らんだイメージ

 課題の部Aは、私が選んだ高浜虚子の50句に写真をつけるものだった。昨年の小林一茶の50句に引き続いての部門だったが、今回出した句は、虚子の代表的な句で、非常に難しかったと思う。  しかし、いくつかの作品は、私が思い描いていた句のイメージをはるかに膨らませていて、ちょっと嫉妬してしまった。作品はやや少なかったが、そのかわりコアなよい作品があった。面白かった。



課題の部 B

最優秀賞

山崎玉江さん 長野県長野市



優秀賞

久保田徳子さん 神奈川県横浜市

杉田猛さん 千葉県船橋市

遠藤美波子さん 長野県安曇野市

入選

平沢茂 埼玉県さいたま市

清水大介 群馬県高崎市

西川房子 長野県長野市

桑島真喜栄 長野県松本市

石川昇 東京都世田谷区

宗沢美子 福岡県芦屋町

栗原和子 東京都杉並区

斉藤いづみ 東京都中央区

山越友香里 長野県千曲市

白鳥寬山 長野県長野市



審査員の講評と感想

中谷吉隆さん(写真家)

多かった説明俳句

 課題の部Bは、私の撮った写真に句をつけるという、初めての試みで、15枚の写真全部に応募があった。また、子どもたちが大勢チャレンジしてくれたのもよかった。  ただ全体に、写っているものをそのまま詠んだ写真の説明俳句が多かった。もうひとひねり、ふたひねりしてほしかった。上位の作者は普段俳句をたしなんでいる方だろう。これを機会に自作のフォト×俳句作品に挑戦してもらいたい。



課題の部 A

グランプリ

吉田希海さん 福岡県久留米市



準グランプリ

溝口開人さん 長野県伊那市

岩田悠子さん 岐阜県岐阜市

宮崎侑人さん 長野県信濃町



審査員の講評と感想

神野紗希さん(俳人)

待春の思い、あふれる青春性

 今回の応募作品は上質で、なぜこの写真と俳句を合わせたか、読者に想像する楽しみを与えてくれるものでした。  ジュニアグランプリは青春性あふれる作品。寒い冬、大木に拠(よ)る鳥の不安に作者の鬱屈(うっくつ)が重なり、右下に広がる青空には待春の思いが広がります。枝の鳥がいつか大空へ羽ばたくように、春が来たら、作者も制服という殻を脱ぎ捨て、未来への一歩を踏み出すのでしょう。  準グランプリ、溝口開人さんの作品は愛とユーモアたっぷり。ゴミ出しついでに世間話する母たちを、小さな雪だるまの姿に重ねました。赤い実の光も、母のいきいきした瞳を感じさせます。岩田悠子さんの作品は幻想的。松尾芭蕉の「旅に病んで夢は枯野をかけめぐる」を踏まえると、赤いホオズキが芭蕉の夢のかけらにも見えます。宮崎侑人さんの作品は、葉っぱににじむ水滴を撮って、朝練へ急ぐ自分の汗を思わせる楽しい仕立てでした。