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響き合いの魅力~初対談(上)

「信州楽学(らくがく)」面の「フォト×俳句」は、写真と俳句を組み合わせたみなさんの作品を掲載する新コーナーです。でも、どうやって作ったらいいのか戸惑う人も多いでしょう。そこで、選者を務める写真家中谷吉隆さんと俳人坊城俊樹さんの対談を2回にわたって掲載します。1回目は、「フォト×俳句」の魅力について。あなたも作品づくりに挑戦してみませんか。


20080717中谷さんα.jpgn20080717α.jpg<その瞬間を切り取る/付かず離れずの関係>

【中谷】 僕がフォト×俳句を作るようになったのは、四年近く前にカメラ雑誌で、こうした作品の選者をするようになってから。以前から写真だけでは言い切れないこともあると感じていた。写真と俳句が互いの限界を補完できると気付きました。組み合わせることで表現に広がりが出る。新しい文芸となる可能性があると思っています。

【坊城】 写真と俳句を響き合わせるというのは新しい試みです。四年ほど前、審査員長を毎年務めている俳句甲子園(松山市)で、競技の一つとして行われたのが、僕のフォト×俳句との出合いです。高校生の感性が良く感動しました。自分で本格的に作り始めたのは昨年の夏ごろからです。

【中谷】 俳句では季語の説明をしては駄目と言われます。フォト×俳句の面白さも写真と俳句とが付かず離れずの関係―不即不離にあることなんです。俳句が写真説明になったり、写真が俳句の説明になるのではいけない。お互いにくっつきすぎたら作品としてはつまらない。
例えば、信濃川の句に、そのまま信濃川の写真を付けても面白くありません。初心者には、自分の気に入っている写真や俳句に、一ひねりして句、写真を付けてみてはとアドバイスしています。

20080717坊城さん.jpgb20080717.jpg【坊城】 付かず離れずが一番難しい所ですが、そこに魅力がある。俳句も割合と即物的で、その瞬間を切り取る写実性がある。写真との共通点が、互いに響き合える要因だと思うんです。

【中谷】 かつて写真を趣味にするにはお金がかかったが、今は手軽に写すことができる。フォト×俳句が注目されているのにもそうした背景があります。

【坊城】 携帯電話で写真を撮り慣れている若い人たちも、メールで送る写真に俳句を付けたくなってくるでしょう。かつて俳画を始めた人も絵と句が響き合うことに気づいたのではないか。俳画から進み、写真と俳句が組むのは、歴史的な試みではないかと興奮しているんです。現代俳句とは別の新しいジャンルとして、成立したらいいと思っています。

(2008年7月17日掲載)


【選者略歴】 ※2012年2月現在

中谷 吉隆(なかたに・よしたか)さん
写真家。1937年、広島市生まれ。ルポルタージュやスポーツなどの分野で活躍。写真コンテストの審査員も多数務める。日本写真家協会名誉会員。作品集に「ノーサイドの笛が鳴る」「神楽坂Story」など。東京在住。


坊城 俊樹(ぼうじょう・としき)さん
俳人。1957年、東京生まれ。俳誌「花鳥」主宰。日本伝統俳句協会常務理事・事務局長。曾祖父は高浜虚子。著書に句集「あめふらし」、「坊城俊樹の空飛ぶ俳句教室」など。東京在住。

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