フォト×俳句トップ 選者対談 > 心の響き 大事に切り取って~ステップアップ講座

心の響き 大事に切り取って~ステップアップ講座

20091224選者.jpg長野市の信濃毎日新聞本社で14日に開いた「フォト×俳句ステップアップ講座」で、選者の写真家中谷吉隆さんと俳人坊城俊樹さんが話した内容を紹介します。俳句、写真それぞれの入門講座を聞き、中谷さんが出題した写真に参加者が句を付けてみました。講座の内容を参考に、年末年始に作品作りに挑戦しませんか。写真と俳句で「冬」を切り取る題材がたくさんありそうです。


★★俳句入門★★

【坊城】 俳句は「風景を切り取る世界で一番美しい詩」です。こんなに短い定型詩を持っているのは日本だけ。五七五に収めるのは、指を折りながら作るとやさしいです。私は今でも人前で指を折ってますから。

俳句は季語が必要です。課題写真で季語を見つけてみましょうか。写真と俳句は(写真説明文のように)くっつけすぎない方がいいのですが、葉が少し残っているので、例えば「紅葉散る」「枯れ葉」「木の葉」。「十二月」でもいいです。これなら、あと12音で俳句ができます。

「愛してる」とか「熱き血潮」とか、情感を直接詠み込むのでなく、風景や物事を写実的に切り取り、余白から情感を出す。「言葉の写真」が俳句です。

★★写真入門★★

【中谷】 カメラは何でもいいです。大切なのは、これが撮りたいんだ、これがおもしろいんだという、心に響いたものを大事に切り取ること。俳句も同じです。

写真には三つの基本があります。一つは光の存在。例えば、斜めからの光は立体感や奥行きが出る。二つ目は、どこをどう切り取るかという「フレーミング」。自分は気に入っている写真でも、見た人の反応が悪い場合は、いろいろ写し過ぎていて、伝えたいことがはっきりしていないためです。三つ目は、シャッターを押すタイミングです。

この三つのどれを優先させるか。それによって、ひと味違う写真になり、メッセージが伝わります。


20091224課題.jpg★★対談・講評★★

【中谷】 写真と俳句は類似点があります。そして、写真だけ、俳句だけでは表し切れない部分を、組み合わせることで表現できるようになる。

20091224俳句.jpg【坊城】 フォト×俳句の「×(掛ける)」とは、5+5=10でなく、5×5で25にもなるという意味なんです。

【坊城】 ①は、いい句ですね。左に写る伽藍(がらん)のような建物を永遠のものとみたんですね。

【中谷】 ①はちょっと写真と俳句が離れすぎかも。②は、それぞれのコラボレーションがいい。③は難しい句だね。

【坊城】 「鵙」や「鎮守」など言いたいことがてんこ盛りなんですね。写真と組み合わせるので、こんなに入れなくていい。省略するといい句になります。

(2009年12月24日掲載)


【選者略歴】 ※2012年2月現在

中谷 吉隆(なかたに・よしたか)さん
写真家。1937年、広島市生まれ。ルポルタージュやスポーツなどの分野で活躍。写真コンテストの審査員も多数務める。日本写真家協会名誉会員。作品集に「ノーサイドの笛が鳴る」「神楽坂Story」など。東京在住。


坊城 俊樹(ぼうじょう・としき)さん
俳人。1957年、東京生まれ。俳誌「花鳥」主宰。日本伝統俳句協会常務理事・事務局長。曾祖父は高浜虚子。著書に句集「あめふらし」、「坊城俊樹の空飛ぶ俳句教室」など。東京在住。

前の記事 特集トップ 次の記事

月別 アーカイブ