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実践講座③ 流行語や人名は要注意

フォト×俳句のレベルアップを図る実践講座の3回目です。今回は俳句を中心に、選者の写真家中谷吉隆さんと俳人坊城俊樹さんが話しました。10月に須坂市で開く第3回全国フォト×俳句選手権目指して、腕を磨いてください。全国公募の部の締め切りは8月24日(消印有効)です。

中谷 今回はあえて、入選回数の多いベテランの作品をとりあげて、俳句のレベルアップを考えてみましょう。
坊城 俳句の基本は五七五の17音で、季語が入っていることです。写実的なことと、季語を見つけてうたうことが大事です。頭で考えた観念的な句だと、理屈っぽかったり、説明的になったり、軽みが感じられなくなってしまいます。
中谷 言葉の選び方が大事ですが、流行語や固有名詞を詠むのはどうでしょうか。
坊城 流行語を使うのは要注意。はやり言葉というのは、すぐに言葉が古びてしまい、俳句全体が色あせてしまいます。地名や人名などは誰もが知っているならいいですが、慎重にしないと。


〈川遊び想定外にビビりだす〉
  (茅野市・永田龍也さん)

坊城 句がすごいですね。「ビビ」が片仮名遣い。「想定外」も流行語でしたね=2005年新語・流行語大賞に「想定内(外)」。昨年の東日本大震災でもたびたび使われていましたが、語感が古い。こういう言葉遣いだと川柳の世界ですね。
中谷 季語は「川遊び」だが、俳句として完結していない。フォト×俳句であっても、俳句と写真それぞれに独立したイメージがわき、それを掛け合わせることで世界が広がるのが大事。
坊城 俳句で遊ぶのはいい。内容が過激でもいい。でも、流行語や成句など手あかの付いた言葉を使うと俳句が陳腐になってしまうんです。

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〈ユウジロウトシキのヨットアロハオエ〉
  (大分県・田辺紀子さん)

中谷 ユウジロウにトシキだよ。
坊城 これまた突飛ですねえ。季語は「ヨット」。ユウジロウはヨットを持っているけど、(坊城)トシキはサーファーでもヨットを持ってないんですけど...。
中谷 トシキが選者だからと作った俳句だろうが、ちょっと無理がある。誰でも知っているユウジロウ(石原裕次郎)で夏を詠んだ方がまだいいと思う。固有名詞で俳句は難しいね。
坊城 片仮名だけの俳句もあるので、内容的にはおもしろいと思うけれど、アロハオエがくどいですね。
中谷 写真はいいですよ。でも、全体的には観光ポスターに付けた宣伝コピーのように感じてしまうのが残念。

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〈瓜売るや熟れたる瓜の売られ時〉
  (埼玉県・福島博子さん)

坊城 韻を踏むというのはあるけれど、ここまで繰り返すと駄じゃれのような感じですね。俳句の世界は感じられない。
中谷 写真はとてもいいのに、俳句で遊びすぎなのが残念。
坊城 瓜、瓜って重ねて、頭から離れない俳句ですよね。もっと写実的にしていくといいでしょう。
ある程度のレベルの皆さんは、既成概念を壊すような俳句も作ってもらいたい。挑戦は歓迎です。

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