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実践講座④ 「ライブ感」を出すには?

 フォト×俳句のレベルアップを図る実践講座(3カ月に1回)の4回目です。今回は13、14日に迫った須坂市での第3回全国選手権「グランプリの部」を前に、訪れた街でいかに「ライブ感」のある作品をつくるか、審査員の写真家中谷吉隆さんと俳人坊城俊樹さんが語りました。選手権初日も、グランプリの部、小学生以下の子どもと保護者で合作する「ファミリー賞」の部への参加を受け付けます(午前11時まで)。問い合わせは事務局(電話026・236・3399)へ。

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 中谷  どこの街にも歴史とか、空気感があります。今回は、旅などで訪れた街で、どうしたら「ライブ感」のある作品をつくれるか、考えてみましょう。
 坊城 先日、中谷さんは、須坂に写真教室(7月に開催)で訪れて、街中の写真も撮られたそうですね。どんな写真だったんです?
 中谷 須坂にある蔵を大きく撮ってもいいけど、それだと、街を紹介するパンフレットみたい。自分がこの街を見たということを「写真で言い切れていない」ことになる。それで、歩いていると、店の軒先に濃いブルーの風鈴がかかっていてね。いろいろ角度を変えたりしながら見てると、風鈴に私の後ろにある蔵の一部が映り込んでいて、「これだ」と。
 坊城 普通は、風鈴があっても、そこに風鈴という「概念」がぶら下がっていると感じるだけで通り過ぎちゃう。やはり目の付けどころが違いますね。でも、中谷さんがしていることって、実は、虚子っぽいんです。
 中谷 えっ、そう?
 坊城 虚子は「対象に迫れ」と言っています。しつこく迫ることで、結果として情感が出てくる。それは写真でも同じですか?
 中谷 あと3歩右に寄ったりして見てみたり、時間帯を変えて、もう一度同じ所に戻ったりするのも大事ですね。長い間、風雪にさらされた土塀であれば、日の当たり方で味わいが全く違ってきますから。では、具体的な作品に即して考えてみましょう。
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 <杯の持つ手ごつごつ衣被(きぬかつぎ)>(長野市・伝田忠三さん)  坊城 衣被は、お月見の時に食べる皮付きの里芋の子芋こと。「ごつごつ」の措辞が、芋の皮と響き合いながら、杯を傾ける男の手の様子を表している。句としてかなり面白い。でも、写真が淡泊なのが惜しいですね。  中谷 月そのもののリアリティーはあるけれど、もっと、その場の雰囲気や味があれば、と思う。これは、私が松本で撮った写真(上から二つ目)ですが、合わせてみたらどうでしょう?  坊城 月のおぼろな感じとか、電線までがいいですね。街中をうごめいている人の感じとかまで見えてくる気がします。
 <お互ひに無口であれば涼しけれ>(埼玉県・飯野佳代子さん)  坊城 句の方は、選手権当日であれば、素朴な年配のご夫婦が歩いている様子と捉えてもいい。その意味で「ライブ感」があります。互いに無口でも、そこに涼しい感じがする。しっとりとした人間模様が浮かんできます。  中谷 写真の金魚が互いにそっぽを向いているのも面白いね。ショーウインドーに建物が映り込んでいますが、当日なら、これを蔵にしてもいい。 20121011-3.jpg
 中谷 選手権まであとわずか。全国大会というと、力が入り過ぎちゃうこともあると思うけど、写真と俳句を取り合わせる楽しさを感じてほしいね。  坊城 それぞれ自分が興味を持ったものにしつこく迫ってほしいですね。人のまねをしなくていいから。結果として、他の人が自分と違う、どんな視点を持っているかを知るのも面白いですよ。

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