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▽一茶の俳句に写真 どう付ける? サンデーフォト×俳句入門の8回目です!

 第4回全国フォト×俳句選手権の事前投稿部門に設けられた一茶生誕250年記念の部。一茶の俳句に自作の写真を付けて、響き合いの妙を競い合います。今回の本欄では、選手権で審査員を務める写真家中谷吉隆さんと俳人坊城俊樹さんが、一茶の句に付ける自作の写真を公開。約1カ月後に迫った応募締め切りを前に、作品づくりのこつを語り合います。
【中谷】 ことしの選手権の事前投稿では皆さんに、一茶の句に自作の写真を付けてもらいます。私と坊城さんが選んだ50句が対象ですが、季節は新年から春夏秋冬とさまざま。付ける写真はどこで撮ったものでもよく、撮りためてある未発表の写真を合わせてもいいです。

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 ということで、読者の皆さんが作品をつくる際の参考となるように、私も実際にやってみました。<是がまあつひの栖か雪五尺>という一茶の情がよく表れた句に、こんな写真(右)を付けてみたのですが、どうでしょう?
【坊城】これは、かいまきですね。

【中谷】ええ、春先に東京の下町を歩いていたらベランダに干してあって。<雪五尺>の寒さ厳しい信濃町で、一茶は晩年を過ごした土蔵の中でこのようなものを着ていたのでは、と想像してね。

【坊城】<つひの栖>という言葉がよく効いていますね。かいまきを干す、この建物の住人の<つひの栖>とも重なって、豊かな情感が伝わってきます。実際に住んでいる人は少し年配の方で、女性なのかな。

【中谷】ベランダも古くてさび付いています。これと、かいまきの色の鮮やかさとの対比も、いいよね。

【坊城】この建物がマンションだったらまったく味気ないですね。このベランダのさびがまさに「これがまあ」といった感じ。その辺りがすごいですね。

【中谷】余談ですが、この<雪五尺>の句に、最初は本当に雪五尺の写真(右)を合わせてみました。雪だけの写真ではどうしようもないけれど、雪国らしく背の高い消火栓があって、その赤色が効いてはいる。でも、やっぱり一茶の句と付き過ぎてしまう。かいまきの写真の方がイメージに広がりがある。

【坊城】一茶の句にはすべて情があって、その情をまず理解することが大切ですね。それをくんで、どう写真化するか。その情をほかのものに例えたり、置き換えてみたりするといいと思います。


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 私は一茶の<蟻の道雲の峰よりつづきけん>という句に写真(右)を付けました。この句は、近景の蟻の隊列があたかも遠い雲の峰から続いているという。情を示す直接的な言葉はありませんが、<蟻の道>の情って何かと考えたときに浮かんだのは、蟻は人間ということ。雲の峰と比べて人間は蟻のように小さく、地べたをはって懸命に生きている。そうした情を踏まえて、写真では蟻を逆に天に向かわせたいと思った。階段状に写っているのは高山村の一茶館の屋根の一部。そこを登っていくというふうに。

【中谷】写真は全体を見せていないから、どれくらいの大きさかと思わせるね。相当に大きな木があって、階段状の屋根はそれよりも高い。切り取り方で、本当に天空に登っていく感じがする。

【坊城】では、今回のまとめを。

【中谷】一茶の句には<雀の子そこのけそこのけ御馬が通る>とか<痩蛙まけるな一茶是に有>とか、状況を詠んだ句がいっぱいありますね。でも、雀や蛙を直接撮っても響き合わない。一つの句のエッセンスとなっている情感を捉えて、それをいかに写真化するか、ですね。

【坊城】すると、一茶の句には子どもが出てきますが、撮っちゃいけない?

【中谷】いや、そうとは限らない。<としとへば片手出(だす)子や更衣>なら、自分の年を手の指の数で示す子を撮ったりせずに、砂場で遊ぶ後ろ姿でも、はにかんでいる表情でも、句そのものの情感を捉えているものであればいいね。

◆事前投稿作品を募集しています
 第4回全国フォト×俳句選手権の事前投稿部門には、一茶の句に自作の写真を付ける部門と、写真・俳句ともに自由の部があります。投稿はともに5作品まで。無料。締め切りは8月25日(必着)。詳しくは選手権ホームページ(http://www.shinmai.co.jp/photoーhaiku/)をご覧下さい。選手権の参加要項と「一茶50句」リストの希望者は、住所、氏名、電話番号を明記し、「申込書請求」と書いて、信濃毎日新聞社事業部内「フォト×俳句選手権」事務局(〒380ー8546 長野市南県町657、kakeru@shinmai.co.jp)へ。問い合わせは平日に同事務局(電話026・236・3399)。

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