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▽サンデーフォト×俳句入門(最終回)です!

 第4回全国フォト×俳句選手権の事前投稿部門への投稿ありがとうございました。結果は9月11日の信濃毎日新聞本紙で発表する予定です。さて、続いては10月に俳人小林一茶のふるさと・長野県上水内郡信濃町で開く選手権吟行大会に向けて、訪れた先での作品づくりのこつを学んでみたいと思います。今回の本欄では、昨年の選手権グランプリの部の優秀作2点を例に、吟行大会でどう作品をつくるとよいか、写真家中谷吉隆さんと俳人坊城俊樹さんが語り合います。

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<ジャズ好きの祖母の眼鏡や冬支度>(倉田有希さん・東京都渋谷区)
 【坊城】
 この作品は、須坂のどこかの建物でミシンを見て、イメージを膨らませて句を作った感じです。とすると、今度の信濃町での大会でも、さまざまなところで物を見て、そこからイメージを膨らませるという手法はあるでしょうね。

 【中谷】 まず物を写真でしっかり捉えて、そこから<ジャズ好き>のおばあさんへと発展させた。そこがうまいね。

 【坊城】 <眼鏡>もいいですね。眼鏡は写っていないけれど、この台におばあさんの眼鏡が置いてあるよう。ただ、惜しいのは、写真が少し平板かなと。

 【中谷】 ミシンを手で回す部分をクローズアップ気味に撮っていれば、そこをおばあさんが回していたという具体的なイメージがより膨らみます。いずれにせよ、何ごとかを「物語る写真」を撮ろうとしたら、そこに徹することが大切です。

<十六夜や思い出の箱そっと見る>(宍戸安子さん・広島市)
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 【坊城】
 テーブルの上に置かれたランタンが、まるで月のようです。ランタンで<十六夜>の寂しいイメージをつくり出してしまった。この点がすごくうまい。句はそれを受けて、自分が撮影したときの心情を膨らませていったのでしょう。誰か亡くなった人からもらったかもしれない大切な<思い出の箱>へと飛躍して、まったく別の世界をつくり出した。

 【中谷】 これはもう、物を撮っているけれど、「情感の世界」を表した作品ですね。ある場所に行き、そこで自分が接した光景から「情感の世界」にポンとギアチェンジして入り込む。こういうことが10月の吟行大会でもできると思います。

 【坊城】 今回は特に、一茶という人が大きなテーマ。信濃町の野尻湖畔や、野の草花、奥深い信濃の山の光景に、一茶への思いを乗せることもできそうです。

 【中谷】 吟行大会には、写真にしても句にしても、そこでの出会いというものがあります。それが醍醐味(だいごみ)ですね。

 【坊城】 現場に行って、しっかりアンテナを立てて取材する。そうして俳句や写真の「神様」が降りてくるのを待ちたいものです。

 【中谷】 それでは皆さん、10月の大会にお越しください。お待ちしています。

 (おわり)

▼選手権吟行大会の参加を募集しています  第4回全国フォト×俳句選手権の吟行大会は、10月5、6日の両日、長野県信濃町の一茶記念館を主会場に開きます。初日は作品づくりで、午後5時までに作品(1人3点まで)を提出。2日目に行う公開審査では、出場者の作品1点ずつを講評し、優秀作を表彰します。定員100人程度。参加費千円(高校生以下無料)。小学生以下の子どもと保護者のペアで作品をつくる「ファミリー賞」の部も千円で出場できます。申し込みは、選手権ホームページ(https://www.shinmai.co.jp/photo-haiku/)などで受け付けています。問い合わせは事務局(平日、電話026・236・3399)まで。

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