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実践講座ワイド

 2015年11~12月応募の作品から、選者の写真家中谷吉隆さんと俳人坊城俊樹さんが「ここをもう少し直せば、さらにいい作品になる」というポイントを対談で指摘してもらいました。作品作りの参考にしてください。
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 <白黒の国営放送秋寂し>(長野市・西村美枝さん)
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 中谷  この写真はトロッコか。箱状なので、石炭か鉱石でも運んだのだろう。
 坊城  昔使っていた物を塗装し直して展示しているように見える。そういう意味では、俳句は昔の白黒テレビの時代を回想している作品といえる。
 中谷  この作品は句としてはイメージがあるなと思ったけれど、写真がこれではないんじゃないかな、と。
 坊城  句はすっと入ってくるけれど、写真が変にカラーで分かりづらくしていませんか。
 中谷  白黒写真が主流だった昭和30年代を象徴するような、団地のベランダの風景を持ってきたいな。白黒で。
 坊城  読者みんながイメージできる象徴的な写真がほしいですね。ベランダの洗濯物とか、子供が遊んでいる風景とか。
 中谷  そう、夕方のね。
 坊城  古いテレビに白黒のサザエさんとかオバQが映っていても面白い。

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 <傍らの動かぬ犬の鼻に冬>(京都市・八尾良蕉さん)

 中谷  句としてはとてもいいなと思ったんだ。写真にもうちょっと空のあかね色が残っていて、人物のシルエットがはっきりしたほうが冬の冷たさが出るのではないか。

 坊城  「鼻に冬が来た」が実に絶妙。冬が犬の鼻だけにやって来たというのが面白い。写真の人物がたたずんでいて、傍らに犬がうずくまっていることを読者に予感させると良かった。

 中谷  別に犬は写っていなくてもOK。



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 <つかの間の冬日あまねく使いけり>(長野市・北村道子さん)

 坊城  俳句がやや難しいが写真を見ればどんぴしゃで分かる。まさにフォト×俳句的な作品。「つかの間」と「あまねく」の関係性ができている。

 中谷  写真の感じもとてもいい。白菜の影で冬日の角度と分かる。

 坊城  「使いけり」とあるが、切れ字の「けり」は歴史ある古式ゆかしい言葉なので、俳句は旧仮名遣いで「使ひけり」にしてほしかった。

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