TOP2011年09月伊那谷の蕎麦は盛んになって 各地のソバ花(2)

 9月18日前後の敬老の日の連休にソバの花を見ようと、たまには、と伊那谷へ出かけました。急ぎ足で簡単に見ただけの浅い印象ですが、伊那谷もソバ栽培は盛んになっているなあ、と見えました。

 まず、飯田市川路では、今年も「天竜峡花の里信州大そば祭り」を開催中でした。ここは以前から、「信州大そば」という品種を育てて、地域の名物にしようと研究しながら活動しています。「花の里」と呼んで、高速道路(三遠南信自動車道)の天龍峡インターすぐ脇が会場。

 ソバの花は満開の時期でしたが、今年は少し出来がよくないようでした。それでも広いソバ畑は、散策して歩くと花の香りに包まれ、周囲の農村風景とともに初秋の風を気持ちよく吸うことが出来ました。

 会場は、いつものようににぎわっています。名物の手打ちそばの他に、小さな露店がいくつも並んで、楽しみ方はいろいろです。例年通り「足湯」やポニーの「馬車」などもあって、大勢の家族連れがゆったりと遊んでいました。ソバを題材として、こうした機会に地元の人と交流できるのはうれしいことです。

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 飯田市と下伊那地区は、近年「そば」に注目して、各地で地域起こしに取り組んでいます。そば屋もずいぶん増えました。

 そんな中で、飯田市の隣の下條村にも寄りました。ここは村の道の駅が「そばの城」と名乗るだけあって、そばには力が入っています。食べるそばの提供、そば打ち講習会、商品開発など懸命な取り組みです。そういえばこの村で最近、そば焼酎を作って売り出したというニュースを見かけました。

 元はといえば、村特産の「親田辛味」という小さい辛い大根が、都会のそば屋で有名になり、そこから村でも蕎麦を取り上げるようになったと聞いています。

 店で、ソバの花が見られますか、と聞くと、簡単な地図のコピーをくれました。たしか前にも行ったことがある場所のようでした。あまり知らない土地へ行った時には、こうした地図があるとずいぶん助かります。皆さんに見てもらいたい、という村人の熱意が感じられていいものです。

 地図に従って行ってみました。確かに、以前来たことのある場所です。一面に真っ白な花が咲いていて、実に見事でした。以前よりずいぶん広くなっています。それだけソバ栽培が盛んになったということでしょうか。

 足を伸ばして、信州最南端の根羽村まで行ってみました。ここでも山間部の水田に点々と白いソバの花が見えました。あまり目立たないのですが、各地で、例えば道の駅などの食堂のメニューには蕎麦が名物として定着しているようです。そうした消費の下支えに、地元で栽培するソバが有効に使われているのでしょう、きっと。村ごと、町ごとに作られている道の駅は、観光客ばかりでなく近隣の地元客もよく訪れているようで、なかなか頼もしい存在です。

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 帰りには、上伊那地方も見て歩きました。ちょうど中川村と箕輪町では「赤ソバ」の花祭りが始まった時です。両方とも花はきれいに咲いていました。

 中川村片桐では「中川赤そば花まつり」。広いソバ畑の向こうには飯田線の電車が時おり走り、遠くには中央アルプスが見える景色のいい場所です。赤ソバは「高嶺ルビー」という品種で、花が鮮やかなピンクから紅色をしています。一面の花畑は、不思議な光景を形づくっていました。見物人も多く、しきりにカメラのシャッターを押しています。

 赤ソバの隣にはブドウ園が広がり、こちらも観光客がたくさん来ていました。総合的な観光地として定着しつつあるようです。

 箕輪町は上古田の「赤そばの里」で、花が見ごろを迎えて里開きでした。この町では以前から赤ソバを作って花を売り出しています。上古田地区の畑は、周囲から影響が及ばないような隔絶した林の中の場所です。一般の白い花のソバと交雑しないように、という配慮からです。

 駐車場からは少し歩くのですが、まわりは木々に囲まれて、幻想的な光景です。相当に広く、花の中を遠くまで歩く人も見かけます。そういえば団体客の大型バスも来ていました、観光地として相当に知られてきたのがわかります。花の時期は咲き始めのようで、これからしばらくの間、楽しめそうです。

 中央アルプスに近い山地のせいでしょうか、ここにもやはり赤トンボが上空にいっぱい舞っています。小学生くらの子供を連れたお父さんが、きっと小さい虫がたくさんいるからトンボが来るんだね、と解説しているのが聞こえました。だれでも気分がのびやかになる一帯です。

 なお、中川村と箕輪町の赤花は、まだ当分はしっかり見られるはずです。10月中旬までいいような雰囲気でした。

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 赤ソバについては、白い花のソバと交雑しないようにという意識は、箕輪町内ではかなり徹底してきたようで、広域農道沿いによく見られた赤花ソバは今回は見当たりませんでした。古田地区を初めとして、普通の白いソバ畑がぐんと増えたように見えます。食べる方にも力が入ってきたのか、と感心しました。

 上伊那では、国道153号線でもいいのですが、広域農道沿いに車で走っていると広いソバ畑がみられます。水田転作も増えたようです。飯島町、伊那市、箕輪町などが特に目立ちました。

 ある地区に点々とソバ畑が見られると、ああこの地域は、そば好きの人が多いのかなあ、とホッとします。一方では、祭りやイベント、商品だけが一人歩きしているような地域では、ソバ畑があまり見えないと、少し不安に思うこともあります。

 基本は住民の関心、好みが大事、ということでしょうか...。

2011年9月25日掲載

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