TOP2011年09月花は満開へ 各地のソバ花(1)

 いい天気に誘われて、9月10日前後にあちこちのソバの花を見て歩きました。割と出来はいいように見えましたが、実際はどうか、本当のところはよくわかりません。

 戸隠はこの夏、パワースポットブームも手伝って、大量の観光客が押し寄せました。皆さん、奥社・中社・宝光社のお宮と、広い道沿いのそば屋に集中したようです。多くのそば屋は大いにうるおったと聞きます。

 今も観光客は多く、一部はソバの花を求めて大きなカメラを担いでやってきます。その一番わかりやすい場所が、バードラインの途中に設けられている「展望台」です。広大なソバ畑はちょうど花が満開で、背景に戸隠山のとがった岩肌の山なみが立ち、いかにも戸隠らしいみごとな光景になっています。カメラマンが間断なく訪れて、しきりにシャッターを切っていました。

 戸隠では一般の農村部でもかなり広範囲でソバが栽培されています。長野市街地と結ぶ県道沿いを車で走っていても、すぐわかります。横道をちょっと入ってみると、思いがけないきれいな花や農村風景の出会うことが出来るはずです。

 たとえば栄峰(えいほう)という開拓地は、最初から機械化された広い畑での栽培でした。遠くからもくっきり見えるし、飯綱山をバックにしても形のいい写真がとれそうです。他の集落でも、あちこちにたくさん栽培しています。

 もっとも、遠くから見えても、近づくのは難しい場所もあります。道が狭く曲がりくねっていて、たどりつくのが困難な畑もあるからです。写真をとりに行くのも、無理はしないようにしましょう。

 全体としては、まだ花が咲いていない小さいのもあり、満開はこれからのように見えました。また、細かく見ると地域ごとにソバ畑の増減はありますが、増えているかなあ、という印象でした。

 山ぎわの畑には電気柵をめぐらしてあるのが目立ちました。熊など獣による被害が、かなり大きくなっているようで、農家の苦労が察しられます。

     ☆

 「霧下そば」の本場と言われる、黒姫山麓の信濃町では、花は咲き始めから満開へ、という時期。風や雨の被害も少ないようで、黒土の畑では成長は順調のように見えました。

 実がつき始めたころに出来る赤い「とうろう」(ちょうちん)も、まだ少ない。これからが本番になることと思います。

 一方で、水田(転作)のソバ畑も広く見られます。信濃町は水田でのソバ栽培が割と上手な地域ですが、今年は一部で、育ちのわるいのを見かけました。やはり天候により、出来不出来の差が現われるもののようです。

 写真にいい場所は、黒姫山の下の旧開拓地が大きなソバ畑になっています。柏原から長野市へ通じる仁之倉線沿いの沿線は水田転作が多いのですが、遠くに黒姫山がよく見えて、なかなかかっこうがつきます。古間から飯山方面へ抜ける一帯にも、広い、また小さいソバ畑が多くあって、農村風景とマッチしていいものです。

     ☆

 安曇野にも久しぶりに足を伸ばしてみました。各地の有名そば屋には客が殺到しているようで、NHK「おひさま」人気がうかがえます。

 ここではもう、稲刈りが始まっています。ソバの収穫はまだまだですが、いつも思うのは、どことなく稲作優先なのだろうなあ、という点でした。

 松本から大町方面へ抜ける広域農道や山麓線沿いにソバの花が多く見られます。豊かな田園風景の中の真っ白なソバ畑は、いいものです。天気に恵まれれば、北アルプスを背景に絶好の撮影ポイントを見つけられることでしょう。

 安曇野の蕎麦は有名になりましたが、栽培の方は、以前から多かったのが水田転作。それで、今年はどこも同じかもしれませんが、水田のソバは作柄が安定していないように見えました。やはり、雨(水分)が多いと、生育にはよくないようです。

 ほとんどのソバが満開という中で、もうじき刈り取りが出来そうな畑もありました。早めに収穫して、一般の秋蕎麦が出まわる前に「新そば」として売り出す算段でしょうか。

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 安曇野の一角、北安曇郡松川村のアルプス寄りの山ぎわのソバ畑で。ふと見上げると、赤トンボが乱舞していました。あらら、びっくり、としばらく見ほれました。左右上下に飛び交う様子は、虫を追いかけて捕獲しているようにも見えましたが、本当のところはわかりません。

 そういえば、今ごろたくさん目立つ赤トンボ(アキアカネ)は、北アルプスの高い山地から降りてきて信州の農村を飛び回るのだ、と聞いたことがあります。そうすると、松川村あたりには、降りてきたばかりのトンボたちなのかもしれません。そして、もしかしたら、花にはたくさんの小さな虫が集まってくる、それをトンボが狙っているのかしら、とも思います。有名な一茶の句に、
  そば所と人はいふ也赤蜻蛉
があります。一茶も、ソバの花盛りに赤蜻蛉(赤トンボ)を見かけて、感慨をこめて詠んだものでしょうか。

 帰りに大町市美麻新行のソバも見てみました。やはり水田のソバは生育がよくないのがわかります。斜面の畑の方はあまり悪い様子が見当たりません。そしてなぜか、ここにも赤トンボがたくさん飛び交っていました。

 近くの中山高原のソバ畑には、大型バスもとまるほどの「おひさま」ブーム。大したものです。そば屋もかなり客が入ったと聞きました。全体ではここは花の盛りは過ぎたようでしたが。(この地区は10月中旬にそば祭りを開くので、栽培を早める傾向があります)。

 信濃路ではどこでも、ソバは花の盛りを迎えつつあります。もう少し県下各地をまわってみようと思います。

2011年9月14日掲載

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