TOP2012年04月ソバの栽培面積が大幅増 収穫量や味はどうなのか?


 昨年の全国のソバの栽培については、既に1月末に農林水産統計として発表されています。収穫量も含まれていて、おおよその状況がわかります。その数字は、なぜか、あまり注目されることはなかったようです。管見にして、一般の新聞などできちんとした紹介する、取り上げることは少なかったように見受け ました。
 「平成23年産そばの作付面積及び収穫量」と題した統計は、全体の傾向としては、「――そばの作付面積は、前年産に比べて18%増加――」と見出しに書いてあるように、栽培面積が大幅に増えています。
 その特色を上げた項目を、原文から拾い出してみます。
1 作付面積
 そばの作付面積は5万6,400haで、前年産と比べて8,700ha(18%)増加した。
 これは、農業者戸別所得補償制度の本格実施に伴い作付けが増加したことによるものである。
2 10a当たり収量
 そばの10a当たり収量は57kgで、前年産に比べて8%下回った。
 これは、北海道等において秋雨前線による長雨や台風第12号・第15号等の影響により、倒伏、脱粒等が多く発生したことによるものである。
3 収穫量
 そばの収穫量は3万2,000tで、前年産に比べて2300t(8%)増加した。
 これは、10a当たり収量は前年産を下回ったものの、作付面積が増加したためである。
(この文章や統計数字は、農林水産統計にあります。興味のある方は訪ねてみて下さい。
http://www.maff.go.jp/j/tokei/kouhyou/tokutei_sakumotu/pdf/syukaku_soba_11.pdf 
     ☆
 収穫量でいえば前年産に比べて8%増です。この"前年"は平成22年度で、割と収穫量が少なかった年です。つまり総合的には、昨年のソバの収穫量はあまり増えていないようにも思います。
 そして「秋雨前線により長雨、台風等の影響」を上げてあるように、玄ソバの品質が必ずしも良かったのではないことがわかります。長野県内の有名店で食べた新蕎麦が、おやっと思うほど質が落ちているのがわかったこともありました...。
     ☆
 栽培面積で1,000ha以上ある道県を拾い出して一覧にしたのが、下の表です。
 道県別では、北海道が19,300haで相変わらずの随一の面積を誇ります。長野県の3630haは第5位。収量は北海道が11400t、長野県は2400tで第4位。
 面積はともかく、収量は毎年長野県は、福島、山形、茨城、福井の各県とほぼ並んでいます。
 数字だけ並べてみると、国産の材料が少し増えてとてもいい傾向に見えるのですが...。しかしよく見れば、もしかすると、大震災の影響をまともに受けているのかもしれません。
 なお、そば栽培面積は今年も面積が増えそうな気配がします。喜ばしいことと言えましょう...。

平成23年産そばの主要道県の作付面積と収穫量
全国農業地域
都道府県
作付面積(ha)収穫量(t)10a当たり収量
昨年度との比較実数昨年度との比較実数
(kg)
前年
対比(%)
対差対比(%)対差対比(%)
全 国56,4008,70011832,0002,3001085792
北海道19,3003,90012511,4003001035982
青 森1,940130107485△58892583
岩 手1,430370135615△106854363
秋 田2,5405301261,02049719540154
山 形4,6705601142,57064013355117
福 島3,7503001092,63077014170130
茨 城2,6303101132,33069014287126
栃 木2,1002401131,87047013489119
新 潟1,59007010589013011756112
福 井3,9506901211,940 2101124992
長 野3,6306701232,4001801086688
鹿児島1,270130111775△445646157
(平成23年産そばの作付面積及び収穫量 農林水産統計 農林水産省平成24年1月31日発表より)

昨年のソバの中で、東北地方や関東地方での収穫について、そして放射能(セシウムなど)の影響について、ほとんど報道が見受けられませんでした。わずかに、米などいくつかの農産物の中で、ソバの線量を測定したらしいことがうかがえた程度です。
 上の表から見ても、福島・山形・茨城・栃木など、もしかしたら相当にセシウム汚染が広がった地帯です。当然のことながら、ソバ(玄ソバ)を買う 側は、気にします。トラブルというほどではなかったようですが、売る側と買う側のギャップがあったとも聞きます。玄ソバの流通については、従来からあまり 表に出ないようですので、本当のところはわかりません。
 このことと関係があるのかどうか――。
 昨秋から今年初めにかけては、割と美味しい店が目立ちました。ふだんよりずっといい味が出ている、それもいい材料を使っているなあと、うれしかったものです。
 しかしそれも、2月ころからだんだん、美味しさが続く店と、がくんと落ちてきた店との差が広がってきたように見えました。なぜなのかは、よくわかりません。おそらく材料のせいか、と思います。
 それで材料と味の関係を聞きただしてみると、例えば北海道産の品質がよくない、という人もいれば、いや、北海道は今年もいいよ、と喜ぶ人もいます。どうやら産地によってずいぶん開きがあったらしい、と聞きました。
 同じように、例えば長野県内産であっても、各地で豊作だったとは聞きませんでした。味についても、地域によっては相当に違いがあったようです。
 そして、量の問題としては、外国産のソバの輸入がどう影響したのかも、あまり表に出てきていないようです。当然のことながら、味にも反映しているはずなのですが。
 そうしたことを各地のそば屋で見聞きし、体験してみて思うのは、去年の国内のソバの生産と流通が相当に混乱したのかしら、という点です。また、 材料が原因で、旨い蕎麦に当たる確率がこの春になってがくんと減ってきたかしら、と感じます。生産・輸入の数字や流通の実態について、もう少し透明にして もらえるとありがたいのになあ、とよく思います...。

 

2012年4月28日掲載

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