TOP2012年08月新規開店の傾向 東京流が多い、独自技術も

 ここ1~2年ほどの間に出来た新しいそば屋について、いろいろ考えさせられました。

○2年ほど前に、長野市の隣町で若い人が始めたそば屋。前にやっていたそば屋が急にやめてしまって、急ごしらえの覚えたての技術、商売のようでした。
 最初はひどく危なっかしい味、経営でした。それがどうやら粉屋の指導よろしきを得てか、だんだん味がよくなり。たまにのぞくと、昼食時などけっこう混むようになっていて感心しました。これは順調に育つかな、と思っていたら、1年ほどで閉店してしまいました。どういう事情があったのかわかりませんが、味がよくなってきていたので期待していたのに、残念でした。伸びる若い人の典型だったような気がします。

○同じころの長野市郊外で、やはり若い人が始めたそば屋。店を新築して、かなり力が入ったオープンなのがわかりました。そば打ちの技術もしっかり身につけてきたようで、インターネットのホームページが最初から自信に満ちていて感心しました。
 食べてみて、蕎麦の味はなかなかのもの。蕎麦以外の料理にも力をこめているようでした。調理場から客席が見通せる構造で、暇な時には店主が客席をまわって感想を聞いたりしています。(県下でもそうした気取った店を時折り見かけます。あまり感じのいいものではないのですが。)
 先日久しぶりに訪ねたら、昼食時にかなりの客が入っていました。忙しいのか、店主は客席の方を見渡すこともなく、下を向いて料理に追われていました。まだ余裕が無いのかもしれません。最初の方針を貫徹するのは、けっこう難しいものです...。

○2~3年前に住宅街の自宅で始めたそば屋。味は割とよくて、評判も上々なのですが、なぜか客が少ない。相当に気取った店作りをしていて、感じはわるくないのですが、たぶん、蕎麦と料理が店作りや主人側の人となりとも合わない印象を持つからでしょうか。年齢もあって、いつまでもつか、気がかりです。

○同じように松本市郊外の村の自宅に1~2年前に開店した、かなり重厚な構えのそば屋。友人が案内してくれたのですが、なかなか雰囲気がいい、蕎麦もそこそこの味です。こうした上品な店は、しばらくは評判がよくて客足も続くだろうな、と思いました。
 同行した皆さんはかなり気に入ったようでした。それでも今後も何度か訪れるかどうかは別です。よくある話で、誉める割には行かない店もあるものですから。

○長野駅近くで、中年の男性が始めたそば屋。地味なやり方でしたが味はわるくなく、だんだん近所の客が増えてきた、と見えたのですが。突然閉店してしまって。1年も保ったでしょうか。昼食の稼ぎは大したことはなかったようですが、夜の一杯飲む客を相手に何とか稼いでいたもののようです。
 やめた理由は体調を崩してしまったとか。そういう場面は、きっと、多くのそば屋にある、あったことでしょう...。(その後はラーメン屋がやっています)。

○長野市郊外の観光地の近くに1年ほど前に開店した店。手打ち蕎麦が売り物で、地元女性たちがグループで経営に当たっている、と見えます。蕎麦の味はかなり良かったので、何度か食べに行きました。客の入りもなかなかです。
 しかし最近は少し迫力が薄れてきて困惑しています。慣れてきたから手抜きになったか、合理化をはかって質を落としたか。こうやってだんだん評判を落とす店は、よくあるものです。この地方の名物料理を上手に宣伝しながら、がんばって経営を続けて欲しいものです。

○長野市の街なかに去年オープンしたばかりのそば屋。ここもやはり、前は別のそば屋があったのですが、経営が厳しかったのか、定着できないまま撤退してしまいました。今度も若い人がやっていますが、味の評判がいいらしく、だんだん繁盛してきているようです。
 立地がよければ家賃も高い。従って夜の飲み屋で稼ぐのでしょう、きっと。そうやって生き延びるそば屋は、けっこうあるものです。経営上の理由で蕎麦の質を落とすと、とたんに評判が悪くなって客が離れていく、という例もいくつか見かけたものですが。

○近所で、つい最近気がついたら開店していたそば屋。独自な打ち方で、趣味で開いているような商売に見えます。あまり若くないからか、割と安心して見ていられのですが。料金が安くて食べるのも気楽ですし。研究熱心なので、今度はどんな打ち方のどんな蕎麦が出てくるか楽しみです。いつまで続くか、心配しながら時々食べに行ってみようかと思っています。

○また、同じ長野市内につい最近オープンした店。住宅地の中で、前もそば屋だった店をそのまま使っているようです。若い人の店らしい。どこで修業してきたのでしょう、蕎麦、ツユ、セットの出し方など、気になる点が多くあります。しばらく様子を見守らないと、これからの方向や変化が読めない気がしました。
     ☆
 考えてみれば、ここ数年の間、たまに見かける"新規開店"のそば屋。だいたいは東京流(江戸流)であり、あるいはたまに独自の技術でがんばっています。一方で信州の伝統的な打ち方の新規開店は、ほとんど見かけなくなりました。そういう時代なのでしょうか。伝統の技術、また「信州流」とは何だろう、と悩ましく思うことがあります...。

2012年8月13日掲載

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