TOP2012年08月観光地の蕎麦は同じ? 信州そばはもっと底上げを

 夏休みに、少し遠出をしました。
 たまに県外へ出ると、信州との違いが気になって、いくつかの蕎麦を食べてみました。ふつうの観光客として、気軽に入った店の味の印象は――
 まず、有名観光スポットの大きな食堂施設で。大食堂とは別にそば・うどんの店があったので、そちらで食べてみました。名物の「○○そば」を注文しました、天ぷらつきです。ふだんはあまり天ぷらなどつけないのですが、よそへ出た時にはつい、いくらか張り込んでしまいます。
 調理場がよく見えるので、待つ間見物しました。蕎麦は金属製の網の道具でゆでています。ふーむ、そうなのか。おそらく、機械製の生麺をゆでているのでしょう。出てきた蕎麦は味気なく、やっと喉を通りました。天ぷらの勢いで流し込んだものです。こういう場所では仕方ない、とあきらめました。
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 2つ目は泊まったホテルの夕食で、バイキング形式。たくさん並んだ料理は、以前来た時より相当に美味しくなっていました。しかし、それではと手を出した蕎麦はいけなかった。
 ゆでてから時間が経って伸びてしまい、くっついて固まりになっています。味もひどいもの。他の料理はそこそこに頂けるのに、蕎麦だけは例外でがっくりしました。
 もっとも、信州の一流の大きなホテルでも、和食の店の蕎麦メニューは、ほとんどの店で機械製の乾麺や生麺からゆでて出します。そしてたいがい、味はよくない。3流の味とわかっていて食べる客が多いのでしょうか...。
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 山間地を下っていくと、部分的にそば屋がたくさん並ぶ一帯をいくつか見かけました。この県がこんなに蕎麦を名物にしているとは知りませんでした。
 店頭の看板にはいずれも、"石臼挽き、手打ち"と大きく書いてあります。そうなのか、今はこうやって宣伝する時代なのか、と感じました。そういえば去年訪れた北陸地方でも、多くの観光地で蕎麦を名物にしていました。もう、中部・関東地方では、多くの県で蕎麦を名物にしていることがわかります...。
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 3つ目は、地方都市で。地元の人に聞いたら勧められた、かなり有名らしいそば屋に行きました。昼食にはちょっと遅めの時間でしたが、店内はすいていました。観光客は山の方へ出かける時間だったのでしょうか。名前を聞きつけて訪れたらしい遠方の人たちが少し居ただけでした。
 蕎麦の味は妙に粉っぽく、やはり喉を通すのに苦労しました。いわゆる、「大盛りを頼んで損をした」と言われてもしょうがない、という味わいです。同席者は、かなりの量を残してしまいました。
 お先に帰る人の反応を見ていると、美味しかったですよ、と声をかけていく客は見えませんでした。皆さん、がっかりして出ていったことでしょう。
 この県で味わった少しの例では、全体には、それぞれ個性はありましたが、味はイマイチ、イマニでした。
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 信州に戻ってきて、「口なおし」に近郊のそば屋へ食べに行き、やはり信州はもっとマシだよなあと、つい、比較してしまいました。
 しかし、しばらくぼんやりと考えていたら、待てよ、信州も同じかもしれない、と思い当たりました。去年も中信の某高原観光地の食堂で、ひどい蕎麦を味わったのでした。北信の有名観光地では、専門であるそば屋の蕎麦が不味い店が多いこと...。鉄道の駅前では、味が落ちたそば屋が増えたような実感もあります。
 また別に、そういえば、県内のいくつかの有名なホテルの和食の店(コーナー)で、蕎麦の味だけはイマイチ、イマニの食堂がほとんど。どうやら、この世界は、そういう位置づけのようです。
 信州を訪れる観光客の多くが「(美味しい)信州そば」を食べたいと希望するそうです。この夏、どれくらいの観光客が「信州そば」に満足して帰ってもらえたでしょうか。うっかりひどい蕎麦を食べて、「名物に旨いものなし」を実感して帰った人も多かったのかもしれません。
 美味しいそば屋の情報がうまく発信出来ていないのは事実でしょう。本当は情報が足りないことを問題にするよりも、信州では、どこのそば屋に入っても、そこそこに満足できる店がそろっているとうれしいのですが。そうした"底上げ"をもっと本気で考えなければいけないように思います。

2012年8月24日掲載

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