TOP2014年12月今年(2014年)のソバは 不作に値上げ

 今秋の各地のそば祭りなどで、今年(2014年)のソバの出来はどうですか? とたずねた。返事はまちまちだが、大まかには、味はあまり悪くない、と言う。量は少し不作気味の地域が多いようだった。

 例えば10月11日の松本そば祭りでは、北海道が不作らしいと聞いた。8月の大雨が響いたという。北陸地方も良くないという話だった。九州などは、収穫がこれからですので、と逃げられた。

 北海道のソバは、特に幌加内地方が大雨でピンチ、というニュースは早くから伝わっていた。しかしなぜか、その後がどうなったのか、あるいは他の地域の出来がどうか、が聞こえてこない。不思議な気がしていた。

 そうした全般的な傾向は、日本経済新聞で早くから報じていた。10月24日号では、「ソバ卸値2~3割高/14年産、中国の原産響く/製粉大手値上げ」というタイトルで。中国産が他の作物への転換が進んで減産だと報じる。9月26日号では2013年産45キロ入り1俵で5000円~5500円だったのが、1カ月後には2014年産1俵6000円~6500円だという。

 国産では北海道が、夏の天候不順で結果は不作になり、やはり価格が上昇したとされる。9月末で2013年産が1俵8000円~1万円だったのが、10月末で2014年産1俵1万円~1万2000円にはね上がったという。

 たまたま目にした、長野県内のある製粉会社のホームページに「価格改定のお知らせ」があって、注目した。それによれば、11月下旬の時点で北海道産は幌加内など凶作、価格が急上昇したけれど物が出てこない、などと全般的な品不足、価格高騰が広がっているという。他の粉屋も似たようなものらしいが、なぜか表には出してない。

 長野県内全体でも似たような傾向らしい。量が少ない、とはあちこちで聞いた。味についてはまちまちの反応...。味は割といい、という声が多かったが、必ずしも「新そば」の美味しい味ばかりでもなかった。

     ☆

 不思議なことに町場の、ふだんは大した味ではない、というそば屋で、新そばになったら急に、いい味が出てきたなあ、と感じたことが何カ所でもあった。たずねるのがむずかしいのでほとんど聞いてないが、きっと、いい材料で打った蕎麦にちがいない。この時期としては、たいへん珍しい体験をした。もしかしたら特定の粉屋が手配した粉が、どこのそば屋にも出回ったのかもしれない。あるいは、通常は下級だと言われる中国産玄ソバ(むきみ?)が、何かの理由で美味しい蕎麦に変身したのかも...。

 その味は、少し粘り気があって、歯に心地よい。東京流の固い生地でなく、伸びのある旨さ。意識しなくても、終わりまで味が落ちない、気分の良さが続く...。

 逆に、自家栽培の店で不作、味も悪かった、という話を聞いた。それは北信濃から東信濃にかけての収穫期のソバ畑を見ていて、貧弱な木と少ない実つきとで予想として感じていたことでもある。

 総合的には、収穫量は少ない、味はバラバラ、というところだろうか。

     ☆

 春からの消費税アップに続いて、原材料の品薄が重なり、製粉会社の値上げがだいぶ実行されたようで。それにつれてジワジワとそば屋のメニューが上がってきたのではないかと思う。厳密に言えば、ソバ粉の金額高騰が1枚の「もりそば」にいくらアップとして影響しているのかは、よくわからないのだが。

 不思議なことに、9月ころまでは客が少ない傾向だったそば屋で、10月あたりからは客が増えてきたのかしら、と感じることが多かった。客の側が、値上げした価格に慣れたのか、と感じたのだが。

 しかし一方で、12時~1時の間はまあまあの客入りだが、あとはバッタリ途絶えるという店は今も多い。全体の客数、売り上げは相当に関係があったのでは、と感じる...。そういえば今年は、閉店してしまった店が多かったのも印象に残る。そば屋の経営が難しくなったのか...。

 他に、昔で言えば立ち食いそばの系統のセルフサービスのそば屋が健闘している。生麺を製造する機械が良くなったのか。作ってすぐ提供するタイミングの良さも関係あるのか。価格がワンコイン(500円)で庶民的(リーズナブルと呼ぶそうな)が売り物らしい。評判のうどん店に、あるいはラーメン店に対抗しているような要素も感じられる。

 今年は一種の変わり目だったかしら、と後追いの反省、振り返りをしながら、年越し蕎麦をすすることになりそう。

 みなさま、よい年越し蕎麦を!

2014年12月30日掲載

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