TOP2015年03月やはり去年は不作 ソバ収穫量の統計発表

 農水省から、平成26年(2014年)の日本のソバ生産の数字が発表された。インターネットで見ることが出来る。2月10日付の発表なのだが、例年より少し遅れた。タイトルは「平成26年産そばの作付面積及び収穫量...そばの収穫量は、前年産に比べて7%減少...」とされている。

 調査結果の概要では、
「1 作付面積 全国の作付面積は5万9,900haで、前年産に比べて1,500ha(2%)減少した」
「2 10a当たり収量 全国の10a当たり収量は52kgで、前年産に比べて4%下回った。 これは、北海道において7月下旬から8月中旬までの多雨等の影響により登熟が不良であったためである。なお、10a当たり平均収量対比は87%となった」
「3 収穫量 全国の収穫量は3万1,200tで、前年産に比べて2,200t(7%)減少した」
 円グラフが示されていて、都道府県別の収穫量の割合がわかる。1位は当然北海道で、13,000t(42%)。2位は長野県2,560t(8%)、3位茨城県2,120t(7%)、4位山形県2,100t(7%)、5位福島県1,930t(6%)と続く。

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 昨秋のうちから国内の生産量が少ないという概略が報道されていたが、正式に発表されてみると、改めて厳しさが感じられる。中国産も減収だとか。世界的に相当に少ない状態なのだろうか...。

 「累年データ」では、平成17年産〜26年産(概数)の全国のそばの作付面積、10a当たり収量、収穫量の推移が一覧になっていて、ここ10年ほどの傾向がうかがえる。

 「関連データ」の1として、「玄そば(殻つきのもの)の輸入量及び割合の推移」が平成21年度〜25年度の棒グラフで示される。国別になっていて、主要は中国とアメリカ合衆国である。

 2は「そば(抜き実)の輸入量及び割合の推移」で、平成22年度〜25年度の数字がグラフになっている。抜き実の輸入は全部中国からのもの。注釈によれば、「平成21年度以前はそば(抜き実)単独の統計値がない。/※玄そばから抜き実への重量の換算率は75.9%が使用されることが多い」とされる。

 「抜き実」とは、昔から言われている「丸抜き」「むきみ」などと同じものと解釈してよいのだろうか。実際の荷姿などの写真を見たことがないし、粉屋などからも情報が出ていないようなので、実態がまるでわからない。

 それでも、ここに出ている「重量の換算率75.9%」を当てはめてみると、平成25年度の抜き実の輸入量39,000tというのは、玄そばにして約51,000tほど。これは既に、玄そばの輸入量43,000tを大きく上回っている。いや、平成24年度の数字でも、抜き実が同じく39,000t、玄そば50,000tであるから、ほぼ並んだというわけだ。数量の変化をたどれば、今後、この傾向が続くことが予想される。(抜き実の平成26年度の輸入量は、貿易統計で未発表のようである)。

 これらの国内の収穫量と輸入量を簡単な表にしてみた(別表を参照)。わかりやすいようにと、玄そばに換算したものも併記した。

 この表を見ていくと、国内産が平成24年度の豊作以来減少しているのがわかる。輸入の量は抜き実を加えて、平成25年度は中国産が圧倒的に多い。「二八そば」「七三」などと冷やかしで呼ばれるように、外国産が3割前後を占めるのが普通の状態である。今や「日本そば」は、外国産、特に中国の抜き実に頼って消費を続けているのがよくわかる。

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 農水省の発表の中には、平成26年度の全国農業地域別および都道府県別の栽培面積や収穫量の一覧もある。収穫量の特色を少し拾うと? 北海道は前年比86%で2,100tの減産。国内産の全体に占める割合が減った。九州も1,140tの減産、前年比は半分以下である。増えたのは東北地方で、1,140tの増加。関東はほぼ前年並み。

 府県別では、東北各県が増えていて、山形県・福島県・秋田県がベストテンに並ぶ。関東では茨城県・栃木県が1,000トン以上で上位に入る。北陸の福井県は760tで、かなりの減産。これは10月の松本そば祭りで聞いた、半分しかとれなかったという嘆きと一致する。九州では鹿児島県が前年比29%だったという数字が深刻さを示している。宮崎県も半分ほどしか収穫がなかったようだ。

 こうした不作の地方では、今年のソバ栽培にどう影響するか、心配だ。最近の新聞記事では、国産ソバ粉が品薄になり、製粉も製麺も値上げへ動いている、と報じた(日経流通新聞2月16日)。特に北海道産の減産が響いているという。

 たしかに、信州のそば屋でも、粉が値上げされた、困ったことだ、と嘆く声を聞いた。昨秋から今年の初めにかけて、割と美味しい味がひろまったか、と感じていたのだが、また困った味へと戻っていくのだろうか。量、価格、味といくつかの課題をひきずっているようだ...。

 新聞では、今年のソバ栽培の動向を予測しているが、補助金助成が厳しくなり、作付の減少も心配される。作付が減れば収穫量も減る可能性が強い。昨年の不作傾向と合わせて、今後の農家の、また農政の意欲が気がかりだ。

 なお、長野県内の収穫量の変化などは、改めて数字が発表になってから検討します。

【最近の全国のソバ収穫量と輸入量(農林水産統計より)】※平成 21年度の全国の収穫量は調査対象(主産県)の合計値。  ※平成21年度以前は抜き実単独の統計値がない。  ※玄そばから抜き実への重量の換算率は75.9%が適用されることが多い。  (この表では、単純に換算率を適用し、末尾を四捨五入した)
2015年3月 3日掲載

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