TOP2016年04月そば屋の「小盛り」

 先ごろ、地元の新聞の投書欄に、そば屋でもっと老人向きに「小盛り」の蕎麦が欲しい、という趣旨の投書が載った。歳をとって、1枚の蕎麦が食べきれないことがある、少ない量のメニューがあるとありがたい、という要望である。ごもっともだ。

 実は、最近のそば屋には、「並盛り」とか「小盛り」という言葉が、そしてメニューが増えてきた。おそらく、投書のような要望が多くなってきたからだろう。探せばそういうそば屋はいくつかある。

 その一方では、大盛りと並盛りの中間の「中盛り」も、かなり増えてきた。最初は、大盛りが特に多い店で、そんなには食べきれない、いくらか減らした大盛りを食べたい、という客の要望に応えたものだろう。それが、大盛りがひどく多くない店であっても、中盛りをメニューに載せる店が出てきた。腹が減った昼食時にはうれしいものである。大盛りが食べきれるか不安でも、中盛りだったら安心して注文出来るというもの。

 そうした盛り=量の多い・少ないをいろいろ言うのは、そば屋に特徴的なことなのだろうか。うどん店とかラーメン屋でも、大盛りがある、数はそれほど普及していないと思うが。そして「小盛り」は、子供向けに、たとえば「お子様ラーメン」というような例はかなりあるようだ。しかし、大人も楽しめる「小盛り」「半ラーメン」などはあまり聞かない...。

 年寄り向きということでは、小盛りのメニューはいいことだと思う。少しでいいから蕎麦を食べたい、という人は、けっこう多いのかもしれない。蕎麦を楽しむという気分がよくわかる話なのである。

 たとえば4月上旬に長野駅近くの比較的新しいそば屋には、「大盛760円、並550円、小盛450円」と書いて貼り出してあった。じき近くの老舗は「もりそば750円、大盛りそば960円」である。味といい量といい、新しい店の方が格段に良い。地元客の人気を集めるわけである。

 隣町の老舗では、「ざるそば580円、半ざるそば380円、もりそば550円、大盛り200円増し」というメニューだった。食べると味はいい、ひところよりぐんと旨くなった印象である。「半ざるそば」がどれくらいの量かわからないが、値段からいって、それほど少ないものとは思えなかったのだが。

(イベントの折の「半ざる」「半かけ」そばは、必ずしも半分ではない。半分より多めの店もあれば、値段以下の量の店も見かけるものである...)。

 また、町のそば屋では、「ランチ」のメニューが多くなっている。ご飯と蕎麦を組み合わせたもので、軽いおかずがつく、あるいは丼飯とセットになったりする。この場合の蕎麦は、軽い「ざる」とか「かけ」が多いようだ。これもつまりは、「小盛り」「半ざる」などと同様の変化球かしらん...。

 こうやって、客の要望に応じる形で盛りの量が増減するのも、面白い話である。全部のそば屋がそうなればいいというものでもないだろうが。

 それでも、そば好き、そば通の食べ歩き(ハシゴ)のためにも、これらのメニューの定着は、好ましいことだと思う。

 「小盛り」とか「半ざる」は、ゆでて出す手間はほぼ同じなので、そば屋にとっては効率がよくないのだろうが、ファンを減らさないためにもがんばって欲しいもの。

2016年4月19日掲載

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