TOP2018年12月波乱含みの年だったか

 今年(平成30年)は、天候不順のせいで、日本のソバは総じて不作だったとされる。特に北海道では、大雨や台風、また猛暑も重なって、夏のころから出来が心配されていた。秋の大きな地震も影響があったことだろう。長野県あたりでも、9月初めころには始まる、北海道産の粉を仕入れて作る「新そば」の貼り紙が目立たなかった。新聞等でいくつかの報道が出てきたのは、11月になってからではなかったか。不作の話で、玄ソバの取引価格が大きく値上がりしてきたという...。

 そうした状況の中で、長野県内では、夏の猛暑がきつかったし、収穫時に風で倒れたりして、収量は少なかった―--凶作だったという地域が広くあったようだ。私が直接聞いた限りでは、ほとんどそういう声だった。しかし、ソバ産地の農村のそば祭りで食べた新そばは、いい味の店が多かった。

 これを考えると...今年から来年にかけては、国産のソバ粉が不足し、足りない分を外国産で補う、というパターンが増えるだろう、と予測するのだが...。全体の傾向がそうであっても、個々の店の事情はいろいろだから、必ずしも皆が味を落とすということもないだろう...。

 以前にも書いたことがあるが、最近感じているのは、そばの味のレベルが、一部の機械打ちの店を除いて、ひどく落ちてはいないようだ、という点。それはたぶん、外国産のソバの品質が相当によくなってきたらしい、という推測に行き着く。ここ10年くらいだろうか、主に中国からの輸入品の中に、「抜き実」が登場してきて、びっくりした(「貿易統計」より)。「抜き実」は、玄ソバの黒い外皮を除いた粒を指し、従来言われてきた「丸抜き」とか「そば米」に該当するものなのだろう。産地でそれだけの加工をして、長距離を輸送してくるのだから、よほど品質の維持に工夫をこらしているはずだ。そんなことも、味の向上に寄与しているにちがいない、と私はにらんでいるのだが...。そんなことがはっきりしてきた年、と位置づけられそうだ。

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 一方で、テレビや新聞、雑誌等で、蕎麦を取り上げる頻度がますます減ってきたような気もする。これまでは、一種の"そばブーム"だったのかもしれないな、と思うことがある...。

 しかし、じっさいのそば屋は、個別の隆盛や没落はあるとしても、全体には―信州ではがんばっている方なのだろう。全県のそば屋の数は、1200店ほどではないか、と推測した雑誌を見かけたが、大よそはそれくらいだろう―何年も前から、あまり減っていないような気がする。

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 全国の傾向の1つに、新品種の開発、普及という面がある。各地に独自の品種が作り出され、伝統の在来種の発掘も盛んで、どこでも注目されている。しかし、それらのいくつかを試食してみたが、あまり大きな特色、差異は感じられなかった。

 長野県でも、独自のブランド、「信州ひすいそば」や「タチアカネ」は相当に知られるようになった。それでもまだ、新品種の特長や良さを引き出して、本当の美味しいそばを育てていくには、かなりの努力が必要だろう...。

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 下らない話ばかり書きました。私の連載はここで終了とします。長い間読んで頂き、たいへんありがとうございました。

 最近の記事はしばらくこのまま掲載して下さるということになっています、よろしかったら時々はのぞいてみて下さい。

 なお、連載の一部をまとめて、「信州そば食べ歩き漫録」として1冊に作ろうと考えています。200ページほど、定価1500円くらいのつもりです。3月か4月ころに出版する予定です、今から予約を受け付けています。どうかよろしくお願いいたします。その概要は前号に紹介した通りです。連絡先、問い合わせ先などは、下記へどうぞ。

   郵便番号381-0025  長野市北長池1112   金子万平

   電話(FAX兼用)026-244-9572   携帯080-6936-9572

   メール:manpei@mx1.avis.ne.jp


【訃報】金子万平さんは肺炎のため、2019(平成31)年3月7日逝去されました。謹んでご冥福をお祈り申し上げます。

2018年12月31日掲載

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