5歳児と全力で鬼ごっこ その先に見えたもの
■コラム「硬面軟面」 井口文(ニュース編集部記者)
「母さん、鬼ごっこしよう!」
5歳の次男に誘われ、自宅近くの小さな広場で、2人で鬼ごっこをすることになった。鬼は、自ら名乗り出た次男に任せた。怖がりの次男は、遊びであっても追いかけられるのが怖いらしい。5歳児の鬼から逃げることになった42歳の私は、捕まりそうで捕まらない、ぎりぎりの距離感を保って盛り上げる作戦を立てた。
広場はバドミントンコートほどの大きさしかなく、逃げるためには細かく方向転換をする必要があった。久しぶりの鬼ごっこに楽しくなり、中学時代にバスケットボール部だった私は、30年前の感覚でフェイントを入れながら鬼をかわしていった。
しかし、緩急をつけて走れたのはほんのつかの間。息は上がり、脚が前に出ない。日頃の運動不足は顕著だった。大喜びで笑いながら追いかけてくる次男に、「簡単に負けるわけにはいかない」と思いつつ、言うことをきかない自分の体。あえなく私は捕まった。
一方の次男は、元気いっぱいに「もう一回」とせがんでくる。私は気合で5回戦ほど付き合ったが、見事に全敗した。「鬼ごっこってこんなにハードだったっけ?」と思いながら、次男にあっさり負けた情けなさと、次男の成長をうれしく思う気持ちが同時に押し寄せた。
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鬼ごっこでの「敗北」はこれで終わらなかった。…